久しぶりの義経千本桜/天皇賞/国学と日本のアンシャンレジーム
Posted at 05/10/31 PermaLink» Trackback(1)» Tweet
今日は内閣改造だそうで、朝からテレビがかまびすしい。ミーハーとは思いつつもやはり政局のニュースが面白いのはやはり人事好きの日本人だからか、世界共通なのか。安倍さんは官房長官もいいが財務大臣あたりを今回はやって欲しい気がする。重みのあるポストを期待。
昨夜なんとなく3チャンネルをつけたら『封印切り』をやっていた。忠兵衛の役がつっころばしらしい色白の二枚目でこれは誰だろうと思ったら、染五郎だった。なるほど。親父さんと違ってこういう二枚目とか色悪のほうが似合いそうだ。孝夫→仁左衛門路線を進んでもらいたい気がする。梅川は孝太郎か。ずいぶん見ていなかったけど、女形が合う。将来は我童を継いでもらいたい気がする。仁左衛門が誰にいくかはよく分からないが。
これは6月の歌舞伎座の公演のようだが、ネットの劇評を見ると染五郎は前半部分が余りよくなかったらしい。私が観たのはもう封印をきった後からだったからよくわからないが、まあその辺りの上方味はなかなかそう簡単には行かないだろうなと思う。しかし染五郎のニンとしてはこの方向はいい。頑張ってもらいたいと思う。
続いて歌舞伎鑑賞教室でやったという『四の切』。義経千本桜の河連法眼館の場である。これは昔、猿之助で何度も見た。つてがあったときに、舞台稽古も観たことがある。今回は猿之助でなく右近、段治郎、笑也という猿之助一座の若手ー中堅によるもので猿之助の演出。久しぶりに堪能した。昔は場面は覚えていても、その場面がどういう必然性でそういう演出になっているのかいまいち理解していなかったが、最近ようやくそのドラマ性が見えてきた。右近はまだまだ猿之助にはかなわないが、よく頑張ってはいると思う。
猿之助丈の病気療養も長引いているが、何とか復帰していただければ・・・と思う。80歳90歳でもでも芸の花が開くのが古典芸能ではあるが、猿之助は若いころから人の数倍も活躍してきたから、何かこのあたりで休まざるを得ないからだの問題があるのだろう。しかし歌舞伎役者の60代というのはなんとももったいない。先代辰之助の早世も頭を掠めるが、そういえば立川談志もこの間のMXの番組で60代を過ぎたら生きててもしかたがないんじゃないかみたいな面白くなさを感じるようになったというようなことを言っていた。こういう世界で若いころから活躍した人というのは逆にそういうものなのかもしれないとも思ったりする。
日中はいろいろ、語学を勉強したりものを書いたり。初めて両陛下が御臨席の秋の天皇賞のレースも見た。こういう重賞でも百万円を超える馬券がでるんだなあとびっくり。考えてみたら18頭立て14番人気の牝馬が優勝したんだからあけてびっくりというようなものなのだろう。
4時前に家を出る。大国隆正が気になって図書館で『国史大辞典』の該当項でもコピーしようかと思ったのだが、あまりろくな情報は載っていなく、日本思想体系にあることは分かったが借りるのも重いので迷う。気分転換に神保町に出かけてみたら、神保町ブックフェスティバルをやっていてすずらん通りはごった返していた。何か読む気になるものはないかと三省堂や東京堂など見て歩くが、ふと考えてみたらさっきの思想体系が古本屋であるのではないかと思い探し始める。一誠堂に以前思想体系が店頭に積んであったので行ってみたが、目当ての『平田篤胤 伴信友 大国隆正』(日本思想体系50、岩波書店、1973)はない。その後数件の古本屋を回りブックフェスティバルの会場もしらみつぶしに探したが思想体系はあっても50巻はなし。6時にはすずらん通りのワゴンも撤収を始めたので三省堂の店頭に出店しているところを探したがなし。
あきらめかけたら岩波ブックセンター横では8時までやっているということを知り、行ってみる。ここでもなかなか見つからなかったが、電灯の灯に照らされた目当ての本をついに発見。「あったあったあった!」と思わず叫んだら私の前にいたスキンヘッドのお兄さんがびびっていた。申し訳ない。ケースは凹んでいるしパラフィン紙は破れているし美品とはいえないが十分。800円なら御の字というところ。昨日の卦は沢地萃でいわば人の集まるところにいいことがあるという卦だが、まあ当たったといえるだろう。というか、その卦を頼りに粘り強く探したということも一面ではあるのだけど。そういうふうにポジティブにとらえれば占いというのも使いようがあると思う。
それにしても読み始めてもこの時代の人たちの国学の思想性というものをよく理解するのはかなり大変だと思った。まずは小林秀雄の『本居宣長』をきちんと読むところからもう一度やった方がいいのではないかとすら思う。国学というのは近世における日本人のある種の宗教的・倫理的世界だなと思うのだが、こうしたものの中で現代にまでなんとなく受け継がれてきているものと現代から見ると非常に奇異になってしまっているものとが雑然と混在しているような気がする。これを先学の時代の考え方に即して再構成して理解しなおすというのはかなり難儀なことだろう。しかし日本人の考え方の独自性や価値観といったものを国学抜きで理解しようとすることはやはり何かの欠落を抱えることになるだろうと思う。やれやれ、江戸時代というのは大変な時代である。まさに日本のアンシャン・レジームというにふさわしい。
フランスで言えばルイ13世期の絶対主義確立期からルイ14世期のバロック的絶対王政の全盛、ルイ15世紀のロココ的・啓蒙主義的なサロン文化の時代からルイ16世紀の絶対王政崩壊期だけでなく、19世紀前半の革命と王政・帝政の繰り返しの時代までに当たるわけだから江戸時代というのは侮れない。また学問的にも日本の精神的ルーツを探ろうとする国学だけでなく儒学も盛んだし神道・仏教の影響力も強くまた洋学研究も始まっているというまさに思想の花盛りの時代である。よくアメリカを人種の坩堝と読んだりするが、江戸時代の日本は思想の圧力釜のなかにさまざまな材料をぶち込んで高圧で蒸しあげている感じがする。その中で月性や月照、黙霖などの「勤皇僧」であるとか洋学と漢学をともに修めた佐久間象山のような怪物が出てくる。考えれば考えるほどハイブリッドであらゆるところに電線がつながっている理解の大変な時代である。
夜は黙霖と松陰の往復書簡を少し読んで就寝。
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from e B e t@eBet at 05/10/31
11月2日に予定されている次期内閣改造において、財務大臣になる人を予想してください。 注: この問題は早期終了になる場合がございます。
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