「動法と内観的身体」/小林よしのりと吉田松陰/ゴルフは紳士のスポーツだ

Posted at 05/10/14 Trackback(1)»

野口裕之「動法と内観的身体」を読みなおす。一度読んだだけではわからなかったことがかなり直接的に体に響いてくる感じがする。声に出して読んでみても響く。

今の時点で響く言葉を抜粋してみる。

動法とは、「日本文化の底流にあり、これを根底から支えつづけた身体運動の伝統」のことであり、野口は「その原理の追求および稽古法の開発」を「内観的整体法の見地から企図し実践している。」

「日本刀に限らず、日本の匠達が作り出す道具は未刊の器である。」
「身を整えなければ決して生じてこない感覚や意識がある。」
「古人の知性は動法の光彩を放つ」
「俳句の簡潔さは…心の反動を消し、心が潔く止まることを志すものである。」
「自然に楽々と動くためにこそ、型は用いられる。」(重い能装束で自由に舞うことなど)
「元来、日本の文化は内面と外面、内観と概観にある差異を追求したものである。…床の間の一輪の椿の蕾に豪華を感じ、鋭く弾じられた琴の音に無上の静寂を秘めようとする文化なのである。」
「日本の文化は動法・内観・感応を支柱として確立された文化であると私は信じている。」

今の時点でコメントをつけることは容易ではないが、現代の巨人ともいうべき言である。
***

SAPIOの「新ゴーマニズム宣言」を読んで、小林よしのりはもともと国防意識の観点から一時ものを言っていたことがあったが、最近では日本的価値をいかにして守るかということをかなりの危機意識を持っていっているなと思った。沖縄での講演の際に、主催者側の一人が吉田松陰のようだと言っていたらしいが、この号を呼んでその思いを深くした。松陰はもともと軍学者であって、ペリー来航に危機感を覚え、ペリーに密航を依頼して断られたことはよく知られているが、そのように「国を守ること」こそが、当時の観念で言えば「攘夷」こそが第一の目的であった。そしてそのためには天皇を中心に日本が団結することが必要と考えた。「攘夷のための尊王」と言われる。

しかし、萩の獄中で宇都宮黙霖と往復書簡を交わす中で論破され、攘夷よりも尊王こそが、つまりこれも当時の観念で言えば日本が日本たる所以であることの皇室を護持することこそがより本質的な問題であって、攘夷はそのための手段に過ぎない、と思想的転換を遂げる。「尊王のための攘夷」である。この思想があったからこそ、長州は熾烈な攘夷の主張から一転して開国に転じ得たと言うべきだろう。

小林の今号の論調からは、そうした「日本が日本であるための価値」をいかにして守るかということを火を吹くような勢いで語っているように感じられる。吉田松陰は二十一回猛士と自称し、人が狂ったかと思うような志を21回死ぬまでにやり遂げたいと言っていた。松陰は20代の終わりで亡くなったが、小林はこれからも火を吹くような激論を何度も起こしていくに違いないと思った。

***

ゴルフのことを考えていて、トーナメント・リーダーたちは考えてみたら一番悪いコンディションでプレイするのだと言うことに思い当たり、なるほど、ゴルフは紳士のスポーツなのだなと思った。つまり、コンディションが荒れて失敗する確率が高くなる一番最後に一番勝っている人がプレイすることで勝負の運を平たくするような仕掛けになっている。これは単に後半に勝負の盛り上がりを持ってくると言うだけではないように思う。考えられているなと思う。また、トップの人をリーダーと呼ぶのも紳士的だ。トーナメントということば自体、歴史学では馬上槍試合などとちょっとエレガンスに欠けるような表現で訳されている中世騎士の戦いから来ているわけで、そういう伝統を維持するための仕掛けがあちこちにあるところが頻繁にルールの変更がされるオリンピック種目などとは違う矜持があるように思った。

いずれも今日なんとなく思ったことである。


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