大混雑の銀座/「小さな少女たちはよく泣く」/佐藤優『国家の自縛』

Posted at 05/10/10 Trackback(1)»

きのうは午前中日記を書いたり仕事をしたりサンプロで不動産投資の話を見たりして昼食後出かける。久々に銀座に行こうと思い、日本橋で降りて日本橋の丸善と八重洲ブックセンターなどを物色しながら銀座へ。やけに人通りが多く落ち着かない。考えてみたら三連休の中日なのだ。普段銀座を歩いている感じでない人がやけに多く、喫茶店も本屋もどこに行っても満員で少々参った。教文館で本を物色、結局佐藤優『国家の自縛』(産経新聞社、2005)と中山恒夫『ラテン語練習問題集』(白水社、1995)を買う。その後洋書コーナーでタキトゥスとか小プリニウスあたりの物で安く読めるものはないかと探すがなかなかそうは行かないんだなこれが。日本以外では、いや日本でも物によったらそうだが、本というものは高いものなのだ。

仕方なく6階の喫茶店に行くと満員。仕方なくいつも行く喫茶店をいくつか行くがどこも満員だったり騒々しかったり。しばらく銀座を彷徨した後、外堀通り沿いに移転した東京羊羹の喫茶室に入って餡蜜を注文。『国家の自縛』を読みながら甘味を味わうが、うーん、どうも『榮太楼』の餡蜜の方が美味しいなあ。ちょっとチェックだなと思う。それから少々歩いてどこかで地下鉄に乗ろうと思ったが、八重洲富士屋ホテルの横を通ると1階の喫茶室は結構空いていた。ああここも選択肢としてはあったなと思いつつ京橋まで歩き地下鉄で戻る。地元で降りた後西友で夕食の買い物をして帰る。あ、ついでに石鹸とラテン語用のノートを一冊と。

夕食後、仕事をしたり友人の受験生の娘から電話がかかってきて勉強法などについてアドバイスしたり。気分転換にラテン語問題集を開く。時間がないと思いつつ、どうにも勉強してみたくなって手を出してしまったが、面白い。Puellae parvae saepe flent.「小さな少女たちはよく泣く」なんていう例文が味だなと思いつつ名詞・形容詞・動詞の規則変化を練習。私の場合ちょっとやってみるとなんでもすぐ感想を持つのだが、ラテン語というのは健康な素朴さを持った言語だなと思う。bonus「よい」の形容詞女性形 bona が「貨幣」という意味になる。つまり貨幣とは「よきもの」なのだ。そういうあっけらかんとした素朴さが魅力的だ。このあたり、日本の古事記・万葉集の魅力とか、中国では「詩経」の魅力などと通じるなと思う。古代文明というものはある素朴な人間性という点で通じるものがあるような気がする。社会が複雑になるとそれぞれの世界や文明が全然違う相貌を呈してくるわけだが。

つい熱中して気がついたら1時を過ぎていた。仕事の方はそれなりには進んでいるが、さすがにラテン語ばかりやっているわけにも行かない。しかしラテン語をそれなりに理解したらフランス語やロシア語を勉強しなおしたりヒンディー語やタイ語などにも手を伸ばしてみたりしたいと野望のみは膨らむ。語学は苦手だといいつつ、実は語学関係の本が家には山のようにあるのだ。下手の横好きとはよく言ったものだが、好きこそ物の上手なれとならんことを願いたいものである。

『国家の自縛』は相変わらず佐藤優という人は面白いなと思う。まだ数十ページだが、面白いところをメモ。

「汝の敵を愛せ」という言葉が聖書にあり、ああキリストというのは心の広い人だなでもできないなと私などは思っていたが、これは神学の立場からいうと敵を憎むと正確な判断が歪んでしまうので、敵を愛するくらいの気分でいるとちょうどバランスが取れて物事が見える、という意味なのだという。目から鱗である。

モンゴルが北朝鮮・中国問題ではキーになる国だが、実は横綱の一族は共産政権時代の秘密警察と公安組織の人たちなのだという。だから情報などを取るにはその線から工夫すべきだし、伝統的に対中敵対意識の強いモンゴルは機密情報の入手・裏取り・検証に非常に利用価値が大きいという。さすがにこの人は切れるしスケールがグローバルであるなと思う。

東トルキスタン=新疆ウイグル問題は日本で思われている以上に深刻で、中国政府が最も危惧しているのがアルカイダが入ってくることなのだという。ロシアの自動化狙撃師団というのがキルギスタンにある反テロリストセンターを中心にアルカイダの活動を抑えているのが、キルギスタンの紛争でよく機能しなくなっており、新疆へのアルカイダ進出が危惧されているのだという。東トルキスタン問題については私自身も強い関心を持っていたが全然情報がなくよくわからなかったのだけど、やはり専門家は違うなと思った。

今のところそんなところだろうか。もう外務省には戻りたくないといっているが、今後とも活躍してほしいスペシャリストだなと思う。

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