『陰陽師』完結/上から読んでも山本山
Posted at 05/10/02 PermaLink» Tweet
10月2日。一昨日の夜東京に帰ってみると、彼岸も過ぎたのだが、まだそれなりに気温が高い。しかし、真昼間に道を歩いていても驚くほど影が長く、まるで冬のような気がしてしまう。本当はもうだいぶ秋が深まっているのだ。気温にだけ注意が行っていると、季節を見落としてしまう。
昨日はMXテレビの『談志陳平の言いたい放題』を見てから出かける。駅前の本屋で岡野玲子『陰陽師』13巻が出ているのを発見。もう出たのかとびっくりしながら購入。これで『陰陽師』も完結だ。前の出版元のスコラが倒産したせいもあるのか、完結までかなりの日数がかかった(第1巻の発行が平成6年)がついに、の感。途中からかなり岡野ワールドになってしまい、最近はエジプト=ツタンカーメンとの時空を超えた重なりまで生じてしまって理解を超える部分が大きくなってきていたが、ある意味永井豪の『バイオレンス・ジャック』『デビルマン』的な展開といえるかもしれない。壮大な思いに浸りつつ夜読了。
話が壮大になってしまって収拾がつかなくなる、という現象は手塚治虫の『鉄腕アトム』や石森章太郎の『サイボーグ009』でも起こっていたが、岡野の場合は原作があるのと一応は歴史物で歴史的事実の枠組があるということ、またそうした実験的な試みを許す商業的な基盤があったということ(オタク=カルト的なものが商業ベースに乗りえた)により無事完結にたどりついたのだと思う。あとは諸星大二郎の『西遊妖猿伝』に何とかインドまで行ってほしいものだが、最近の諸星のコンディションを見ているとちょっと難しいかなとも思う。しかし白土三平が忘れたころに『カムイ伝』第2部を書いたという前例もあるし、期待ゼロではない。
買うものはいくつか買い物メモにして出かけたのだが、まず丸の内の丸善で古田博司『東アジア・イデオロギーを超えて』(新書館、2003)を買う。これは図書館で借りて読了したのだが、何十枚も付箋をつけてしまい、もう一度あとで目を通すためには自分で持っていた方がいいと判断して結局買った。奥付を見ると今年になって2刷りがかかっていてちょっと驚く。それから池波正太郎『乳房』(文春文庫、1987)。『コミック乱』に掲載されたマンガ(鬼平犯科帳)が良かったので原作も読もうと思い買ったのだが、「不作の生大根」と煙管職人勘蔵に罵倒された「お松」が勘蔵の女房ではなく、弄ばれて捨てられた女であるという最初の関係の設定が異なっていることを知る。コミックではだいぶ弄られているとは知っていたが、やはり原作を読まないと鬼平を読んだことにはならないかもしれないと思う。未読了。
お茶が切れたのでいつもの丸ビル地下に行こうと思ったが思いなおして東京駅の北口の通路を通って日本橋に出、いつも目の前を通るだけだった「山本山」に入ってみる。中は昔ながらの茶舗という感じだ。店員が前垂れをしていたり、奥の棚に小さな茶箱が積んであるのも懐かしい感じだった。道を通る人がちょっと中でお茶を楽しめるような喫茶的な部分があって年配の方が店員と話をしている感じも面白く、ごちゃごちゃしているのが返ってリアルな茶舗の雰囲気である。「秋の限定煎茶」というものを買ったらくじを引かせてくれて榮太楼の飴三つ入りの袋をくれた。
それを見てちょっと甘味が食べたくなり「榮太楼」に行くことにしたが、その前に「榛原」で半紙と封筒を買う。榛原に行くのは久しぶりだが、お客がずいぶんいた。確かに、日本橋に出かけて江戸情緒を探訪し、ちょっとお土産に買っていくには紙物や紙細工がちょうどいいかもしれない。そのあと榮太楼で餡蜜を食べる。フルーツがそれぞればかに美味しい。蜜柑がまさに缶詰の蜜柑の味なのだが、それをずっと美味しくしたような味で、ちょっと不思議に感じた。
帰宅すると『MOKU』の10月号と『全生』の10月号が来ていた。読むものがだいぶたまる。本を読んだり仕事の準備をしたりしたあと夕食の買い物に出ると西友の3階の文教堂書店に塩野七生『ローマ人の物語』の2123巻が出ていてこれも買った。いつ読めるのかと思いつつ。
どうも中途半端な疲れが妙にからだに引っかかったまま就寝したら頭の中が混乱するような夢を見た。どうもたまっている心の膿のようなものが吐き出された夢だった気がする。目が覚めると疲れてはいたがすっきりした部分もあった。
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