北朝鮮の破綻した論理/テロリズムはナチスの政治思想を継承しているか
Posted at 05/09/16 PermaLink» Trackback(2)» Tweet
六カ国協議は北朝鮮が突然軽水炉を提供しろと言い出し、暗礁に乗り上げている。もともと北朝鮮の約束不履行によって中断された事業をその点の状況をさらに悪化させておいて再びやれというのだから盗人猛々しいとしか言いようがない。北朝鮮の本当の狙いがどこにあるのか相変わらずわからないが、振りまわせるだけ振りまわしておいてその間だけでも中国や韓国の援助で独裁政権が延命すればよいと割り切っているのだろうか。アメリカもとりあえず落しどころを見出そうとしている姿勢になってきたから強気に出て大丈夫だと判断したのだろう。あのような交渉術を持った独裁者があのような国にいること自体が北朝鮮の最大の不幸だろう。そしてその壁を打ち破れない日米の交渉力不足もまたわが国と北朝鮮の人々の不幸の源泉になっている。こちらの記述に深くうなずく。北朝鮮の論理は既に完全に破綻しているのだ。
国連サミット(国連首脳会合)のニュース、どうも各社の伝え方がばらばらでよくわからない。共同通信、読売新聞、ニューヨークタイムズと見てみたのだが。核テロ防止条約に小泉首相が署名したことはわかった。気になったのは、プーチンがテロリストはナチスの政治思想を継承していると批判した、という共同通信の記事で、その演説の詳しい内容を探したのだが見つからなかった。
テロリスト、というのは現下の世界状況ではイスラム過激派のテロリズムを指しているといって良いだろうが、それがナチスの政治思想のどの部分と共通しているのか、良くわからない。どちらも人命を軽視していることだけは事実だが、それであったらロシア政府も人後に落ちないし、それに呼応して発言した胡錦涛政権も同様で、目くそ鼻くそを謗る、というふうにしか思えない。
この発言が特に引っかかったのは、アメリカの右派―ユダヤロビーにある「オクシデンタリズム」の思想との関連が気になったからである。オクシデンタリズムでは、ナチスも日本「軍国主義」も毛沢東主義も全て西欧の自由民主主義文明を悪とみなす「反西欧主義」=「オクシデンタリズム」である、と決め付けている。プーチンはそれに乗っかったのかなと思ったのだが、しかしそれも論理矛盾がある。
「ナチス」という悪魔をロシアが壊滅させたという輝かしい歴史を誇示し、それとテロリズムを強引に関連付けることによってチェチェンなどのレジスタンスを押さえ込もうというそういう底の浅い議論と考えていいのだろうか。中国が呼応したあたりはチベットや東トルキスタンの反対勢力に対する倫理的悪魔化の意図に決まっている、とすぐ思ってしまうが、プーチンの思考パターンはまだよくわからないところが多い。
いずれにしろ最近の基調は中国―ロシアという「悪の連合」が成立し、ユーラシアの広大な地域を占める両国が周辺に強力な圧力をかけ始めたということである。どちらか一国だけではアメリカに対抗できないが、中露同盟となるとどうだろうか。少なくとも日本が再び軍事境界線の最前線に立たされつつあるということは言えるのではないかという気がする。
冷戦時代は中国やソ連の代理人的知識人が日本の論壇を壟断していたが、今後はどうなるのか。また不毛な米vs中露の代理人闘争が日本の論壇を席巻することだけはやめてもらいたいものだと思う。
"北朝鮮の破綻した論理/テロリズムはナチスの政治思想を継承しているか"へのトラックバック
トラックバック先URL
"北朝鮮の破綻した論理/テロリズムはナチスの政治思想を継承しているか"へのトラックバック一覧
from SUPER-X.COM at 05/09/16
早上好!super_xです。 国連首脳会合が、開幕して数日立つが… 中国のフーチンタオ主席は、相変わらず偉そうに演説をしたようである。 でわ、人民日報から… 国連首脳会合で重要な演説発表 胡錦濤主席 胡錦濤国家主席は14日午前、ニューヨークで国連設立60周年特別首脳
"北朝鮮の破綻した論理/テロリズムはナチスの政治思想を継承しているか"へのトラックバック一覧
from Spotlight 英語で歩く、噂の現場-choibiki\'s BLOG-ホンモノで学ぶ、英語を学ぶきっかけ探し at 05/11/08
マスコミを通じた北朝鮮に関する報道、あるいは挑発的とも言える彼ら高官の発言などが報じられるたびに思います。北朝鮮は情報を伝えるのがうまい。卑近な言い方ですが、まさしくエンターテイメントの感すらあります。こちらを怒らせたり、期待をもたせてくれたり、ハラハラ
カテゴリ
- Bookstore Review (17)
- からだ (237)
- ご報告 (2)
- アニメーション (211)
- アンジェラ・アキ (15)
- アート (431)
- イベント (7)
- コミュニケーション (2)
- テレビ番組など (70)
- ネット、ウェブ (139)
- ファッション (55)
- マンガ (840)
- 創作ノート (669)
- 大人 (53)
- 女性 (23)
- 小説習作 (4)
- 少年 (29)
- 散歩・街歩き (297)
- 文学 (262)
- 映画 (105)
- 時事・国内 (365)
- 時事・海外 (218)
- 歴史諸々 (254)
- 民話・神話・伝説 (31)
- 生け花 (27)
- 男性 (32)
- 私の考えていること (1052)
- 舞台・ステージ (54)
- 詩 (82)
- 読みたい言葉、書きたい言葉 (6)
- 読書ノート (1582)
- 野球 (36)
- 雑記 (2225)
- 音楽 (205)
月別アーカイブ
- 2023年09月 (19)
- 2023年08月 (31)
- 2023年07月 (32)
- 2023年06月 (31)
- 2023年05月 (31)
- 2023年04月 (29)
- 2023年03月 (30)
- 2023年02月 (28)
- 2023年01月 (31)
- 2022年12月 (32)
- 2022年11月 (30)
- 2022年10月 (32)
- 2022年09月 (31)
- 2022年08月 (32)
- 2022年07月 (31)
- 2022年06月 (30)
- 2022年05月 (31)
- 2022年04月 (31)
- 2022年03月 (31)
- 2022年02月 (27)
- 2022年01月 (30)
- 2021年12月 (30)
- 2021年11月 (29)
- 2021年10月 (15)
- 2021年09月 (12)
- 2021年08月 (9)
- 2021年07月 (18)
- 2021年06月 (18)
- 2021年05月 (20)
- 2021年04月 (16)
- 2021年03月 (25)
- 2021年02月 (24)
- 2021年01月 (23)
- 2020年12月 (20)
- 2020年11月 (12)
- 2020年10月 (13)
- 2020年09月 (17)
- 2020年08月 (15)
- 2020年07月 (27)
- 2020年06月 (31)
- 2020年05月 (22)
- 2020年03月 (4)
- 2020年02月 (1)
- 2020年01月 (1)
- 2019年12月 (3)
- 2019年11月 (24)
- 2019年10月 (28)
- 2019年09月 (24)
- 2019年08月 (17)
- 2019年07月 (18)
- 2019年06月 (27)
- 2019年05月 (32)
- 2019年04月 (33)
- 2019年03月 (32)
- 2019年02月 (29)
- 2019年01月 (18)
- 2018年12月 (12)
- 2018年11月 (13)
- 2018年10月 (13)
- 2018年07月 (27)
- 2018年06月 (8)
- 2018年05月 (12)
- 2018年04月 (7)
- 2018年03月 (3)
- 2018年02月 (6)
- 2018年01月 (12)
- 2017年12月 (26)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (5)
- 2017年09月 (14)
- 2017年08月 (9)
- 2017年07月 (6)
- 2017年06月 (15)
- 2017年05月 (12)
- 2017年04月 (10)
- 2017年03月 (2)
- 2017年01月 (3)
- 2016年12月 (2)
- 2016年11月 (1)
- 2016年08月 (9)
- 2016年07月 (25)
- 2016年06月 (17)
- 2016年04月 (4)
- 2016年03月 (2)
- 2016年02月 (5)
- 2016年01月 (2)
- 2015年10月 (1)
- 2015年08月 (1)
- 2015年06月 (3)
- 2015年05月 (2)
- 2015年04月 (2)
- 2015年03月 (5)
- 2014年12月 (5)
- 2014年11月 (1)
- 2014年10月 (1)
- 2014年09月 (6)
- 2014年08月 (2)
- 2014年07月 (9)
- 2014年06月 (3)
- 2014年05月 (11)
- 2014年04月 (12)
- 2014年03月 (34)
- 2014年02月 (35)
- 2014年01月 (36)
- 2013年12月 (28)
- 2013年11月 (25)
- 2013年10月 (28)
- 2013年09月 (23)
- 2013年08月 (21)
- 2013年07月 (29)
- 2013年06月 (18)
- 2013年05月 (10)
- 2013年04月 (16)
- 2013年03月 (21)
- 2013年02月 (21)
- 2013年01月 (21)
- 2012年12月 (17)
- 2012年11月 (21)
- 2012年10月 (23)
- 2012年09月 (16)
- 2012年08月 (26)
- 2012年07月 (26)
- 2012年06月 (19)
- 2012年05月 (13)
- 2012年04月 (19)
- 2012年03月 (28)
- 2012年02月 (25)
- 2012年01月 (21)
- 2011年12月 (31)
- 2011年11月 (28)
- 2011年10月 (29)
- 2011年09月 (25)
- 2011年08月 (30)
- 2011年07月 (31)
- 2011年06月 (29)
- 2011年05月 (32)
- 2011年04月 (27)
- 2011年03月 (22)
- 2011年02月 (25)
- 2011年01月 (32)
- 2010年12月 (33)
- 2010年11月 (29)
- 2010年10月 (30)
- 2010年09月 (30)
- 2010年08月 (28)
- 2010年07月 (24)
- 2010年06月 (26)
- 2010年05月 (30)
- 2010年04月 (30)
- 2010年03月 (30)
- 2010年02月 (29)
- 2010年01月 (30)
- 2009年12月 (27)
- 2009年11月 (28)
- 2009年10月 (31)
- 2009年09月 (31)
- 2009年08月 (31)
- 2009年07月 (28)
- 2009年06月 (28)
- 2009年05月 (32)
- 2009年04月 (28)
- 2009年03月 (31)
- 2009年02月 (28)
- 2009年01月 (32)
- 2008年12月 (31)
- 2008年11月 (29)
- 2008年10月 (30)
- 2008年09月 (31)
- 2008年08月 (27)
- 2008年07月 (33)
- 2008年06月 (30)
- 2008年05月 (32)
- 2008年04月 (29)
- 2008年03月 (30)
- 2008年02月 (26)
- 2008年01月 (24)
- 2007年12月 (23)
- 2007年11月 (25)
- 2007年10月 (30)
- 2007年09月 (35)
- 2007年08月 (37)
- 2007年07月 (42)
- 2007年06月 (36)
- 2007年05月 (45)
- 2007年04月 (40)
- 2007年03月 (41)
- 2007年02月 (37)
- 2007年01月 (32)
- 2006年12月 (43)
- 2006年11月 (36)
- 2006年10月 (43)
- 2006年09月 (42)
- 2006年08月 (32)
- 2006年07月 (40)
- 2006年06月 (43)
- 2006年05月 (30)
- 2006年04月 (32)
- 2006年03月 (40)
- 2006年02月 (33)
- 2006年01月 (40)
- 2005年12月 (37)
- 2005年11月 (40)
- 2005年10月 (34)
- 2005年09月 (39)
- 2005年08月 (46)
- 2005年07月 (49)
- 2005年06月 (21)
フィード
Powered by Movable Type
Template by MTテンプレートDB
Supported by Movable Type入門