民主党はなぜうまく行かないのか/総理大臣の条件は
Posted at 05/09/14 PermaLink» Trackback(1)» Tweet
民主党が混迷を深めている。岡田代表が辞任し、次の代表選びに入っているが、若手説と菅or小沢説が対立してまだまとまらない状況のようだ。若手も野田・前原と来ているが、民主党の根本的な問題は、この人になら『総理大臣』を任せても大丈夫だ、と感じさせる人がほとんど見当たらないということなのではなかろうか。
まあ小泉首相も最初は勢いでなってしまってこの人で本当に大丈夫かという感じだったが、もう4年目になってみるとその前の森・小渕・橋本などに比べても総理大臣ぽさが相当身についてきているというか、総理大臣というもののイメージが「小泉的」に変質してしまったような気がする。私が歴代の総理大臣の中で一番総理大臣的なイメージの強い人を選べといわれたら、戦前では伊藤博文・原敬・浜口雄幸、戦後では吉田茂・佐藤栄作・田中角栄といったところか。やはり戦後は格落ちの感が免れないが、いずれにしても攻撃的というか攻勢をかける姿勢を持った人が私の総理大臣のイメージである。そう言えば戦前の三人はみんな駅で暗殺されている。(伊藤はハルピン、原・浜口は東京駅。浜口は即死ではないが)
その伝で行けば、小泉首相も総理っぽさが身についてきた感じだ。政策はともかく、権力闘争では絶対に負けない強さが総理大臣の条件だという部分はあるだろう。小泉首相も首相になる前は徒手空拳というか一人でばたばたしている感じだったが。
大平は悪くないがインテリっぽさが強くてちょっと高級過ぎる感じ。福田も悪くないが田中に先を越されたり総裁選で敗れたりして勝負弱さが目立ちすぎる。そのへん政策通といわれた橋本にも通じる。森はあまりにもアンチインテリという感じか。小渕さんは悪くはなかったのだけど、どうもスケールが追いつかなかった感じがする。良い人は長生きできないというが、そういう意味では良い人過ぎた感があり。総理を逃した緒方竹虎・安部晋太郎などもその感あり。
特異なのは西園寺公望・近衛文麿・鳩山一郎・細川護煕、やや違うが宇野宗佑・海部俊樹・村山富市など。担がれて御神輿に乗ったタイプ。数えてみれば結構多いのが日本的かもしれない。前の4人はいわゆる貴種。西園寺は政友会、近衛は皇道派(だけではないが)、鳩山は三木武吉・河野一郎、細川は小沢一郎に担がれて、西園寺や鳩山は大過なく過ごした感じだが、近衛と細川は大乱を招いた。こういうお飾り向きの人材というのが時々出てくるが、それは下で支える参謀や実働部隊が相当充実していないと国を誤ることになる。
後の3人はまさに軽量級で宇野は竹下、海部は小沢、村山は自民に担がれて出てきたがやりたいことはほぼなにも出来ず妥協の結果、害ばかり流したということになろうか。「シャッポは軽くて馬鹿がいい」、とは小沢の海部評だそうだが、宇野は政界に下ネタスキャンダルを導入し、海部は湾岸戦争でバンバン金を出したのに無視され、村山は戦後50年決議という桎梏をその後の政界に与えている。そういう意味では宮沢の官房長官時代の教科書検定近隣諸国条項というのも同罪である。弱権の総理大臣は強権の総理大臣より悪い、というのが歴史の伝えるところであるように思う。
まあ話を元に戻すと、そういう意味で民主党の議員で一国を任せられるようなリーダーシップの取れる、勝負のかけられる人材が払底しているというのは事実だろう。かろうじて菅・小沢ぐらいだと思うが菅はいうまでもなく拉致実行者の釈放を求めた「きわめてマヌケ」であるし、小沢はあまりにも「いまさら」という感じである。小沢は正直言って今までも総理になれそうなときは何度もあったのに自ら放棄しているとしか思えない対応を取ってきた。その人がいまさら、というのは小泉首相と同年だとは言え仕方ないかなと思う。
まあいわゆるポスト小泉も、そのリーダーシップと勝負強さは未知数である。もちろん一番可能性を感じさせるのは安倍だが、肝心なところでどこまで勝負をかけられるか。総裁選で石橋に敗れ、石橋の大病で総理が転がり込んできたが安保騒動で退陣に追い込まれた祖父・岸信介、中曽根裁定で総理を逃し早世した父・安倍晋太郎にたいし、安倍はどういう政権像を描くか。竹下もそうだったが、「次は彼」という状態が長すぎるとあまりろくなことにならない。勝負時を見誤らないでいただきたいと思う。
また民主党に話を戻すと、今回の岡田氏の訴えもそうだが民主党はいつでもいったい誰に呼びかけているのかわからないところがある。社民党や共産党、公明党は限られた面子とはいえストライクになるゾーンは存在する。二大政党は国民政党だからなかなかストライクゾーンの設定は難しいが、今回小泉首相のストライクゾーンは主婦層だ、という話があって、なるほどそうかなと思った。つまり、主婦層のいやがる消費税とBSE牛肉輸入再開は絶対やらない、というわけである。特にBSEは対米問題であるだけに処理が難しいが、自衛隊派遣問題などを梃子に米側の姿勢を転換させられないとは限らない。日本としてはどちらも日本側に有利になるようにしてもらいたいが、ブッシュも自衛隊を優先してBSEでは譲歩する可能性がないとは言えないような気がする。まあ内政問題でアメリカが譲歩するというのはちょっと無理かもしれないが。
民主党って誰がいれるんだろう、と考えてみると、結局小泉政権・自民党が嫌な人、というネガティブな定義しか出来ないような気がする。女性には人気がないしだからといって若者に人気があるわけでもない。安定感があるわけでもないし、リーダータイプが目白押しというわけでもない。「パソコンと英語で政権が取れると勘違いしている人たち」、という揶揄がどこまでも付いていく。受験秀才なのに権力を取れない中途半端なエリート、という一番脂ののりの悪そうな感じのところがある。
日本版のニューデューラーというか「ベスト・アンド・ブライティスト」を目指しているのだろうか。しかしまあ、近代文明のどん詰まりの今日、そういう人たちに政権を任せても国民生活も国もよくなる感じが全然しないんだよなあ。
やはり日本の二大政党というのは政友・民政の昔にさかのぼって、地方重視・利益誘導型政党と都市重視・金融財政ひきしめ重視政党の二つに分かれるくらいの感じがいいのではないかと思うが、多分文明論的に日本という国がどういうかたちを望んでいるのかというところまで掘り下げないと自民党を凌駕しうる第二の大政党は生まれてこないのではないかという気がする。
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from sea_shore at 05/09/14
今回の選挙、小選挙区制で選挙を戦う上でのモデルケースとなりそうですね。そして二大政党制を謳い文句に小選挙区制を推進した小沢一郎、大反対だった小泉純一郎。その反対理由が少数
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