小野田寛郎さんの姿勢/オジロワシの若者/日本海軍
Posted at 05/09/06 PermaLink» Tweet
こちらの方もごらんになっていたようだが、私も小野田寛郎氏の番組は見ていた。小野田氏についての書籍や雑誌の記事なども良く見てはいたが、中野学校での自由闊達な議論の話など、じかに聞くと納得のいくものがある。そういえば昨日教文館に行ったときこの番組でもインタビュアーになっていた戸井十月の書いたこういう本があるのを見かけた。戸井氏の問いかけには私などは違和感を持つ部分もある、というかおそらくはいんちき左翼系のあの風貌があんまり好きじゃないだけなのかもしれない、が、番組自体は非常に丁寧に作られていて印象が良かった。
個人的な感想でいえば、私は小野田氏の「姿勢」が気に入った。立ち姿がすっきりしている。背筋(せすじ)を伸ばす、とよく言うが、小野田氏の姿勢は横から見るとむしろ「腹筋(はらすじ)を伸ばす」という感じで、体の前面が一直線になるように立っている。その結果、尻がやや突き出るような感じになるが、実際に立ってみるとこの姿勢が一番安定し、力が入るように感じる。人によって体型はさまざまだから「良い立ち方」をしても自分の頭で描いた立ち方になるわけではないが、現代人はどうも格好をつけて腹を突き出すような、つまり偉そうな立ち方をすることを好むように思う。しかし小野田氏の立ち方や歩き方を見ているとこれが日本人に一番あった立ち方なのではないかなと思う。上半身も大きく見えるし。
私などには想像もつかないが、やはり戦前であったら軍隊に入ることによって「体が作られる」という面はあったのだろうなと思う。農家などでもともと鍛えられて入ってくる兵士はともかく、都市のインテリなどは実際軍隊で学ぶことは多かったのではないか。小野田氏が中学卒業後家を飛び出し貿易会社に就職して中国の漢口で働きかつ遊ぶ充実した十代の青春時代をすごしたというのは初めて知ったが、このあたり私も祖父に聞いた祖父の十代の青春話と似ていてちょっと懐かしかった。祖父が回ったのは「支那」ではなく「内地」であったけれども。
小野田氏は現在、日本で小野田自然塾を開いて子どもたちの生きる力を育てる取り組みをされているが、ブラジルでは牧場主として数え切れないほどの牛を飼っている。牛たちを牛舎に追い込み一頭一頭注射をしていきながら「ドス」「クアトロ」などと近くにいる人に言っているのを見ると、確かにアメリカの牧場でも一頭一頭出産や生育を管理するのは大変だろうなあというふうには思う。ブラジルでBSEが発生しないことをつい願ってしまった。
* * *
テレビの話が続くが、昨日の『地球不思議大自然』の知床半島のオジロワシの話はとてもよかった。流氷の到来が鳥たちにとって絶好の餌場の確保につながるという事実はとても印象的だ。また若いオジロワシがキタキツネに近づけなかったりより大きなオオワシに獲物を奪われたりするさまは非常に意外で、どんな動物でも若者は図体ばかり大きくても生きるのが大変なんだなと妙に感心させられた。大人は強い。
余談だが、オオワシといえばガッチャマンである。映像でも実際に見るのは初めてだったと思う。映像で見る限りは結構嫌なヤツであった。まあオジロワシ中心の編集だからしょうがないが。
* * *
昨日は雨もよいで気温が低いのをいいことにほとんど一日こもりきりでものを書いていたが、午後遅くになって気分転換に銀座に出かけ、教文館で本を本を物色し、半藤一利・秦郁彦・横山恵一『太平洋戦争 日本海軍戦場の教訓』(PHP文庫)を購入。6階にあがり児童書のフロアをざあっと見ていたらカードが目に留まり、スウェーデン製の物を2枚購入。一枚は、ニルスがアヒルに乗ってフィヨルドの上を飛んでいるあの図柄である。もう一枚は"Solagget"と書いてあるがなんと読むかすら分からない。地面に落ちたオレンジを妖精のような小さな女の子が見ている図柄である。北の方には妖精やらコロボックルやら「小さな人」の幻想があるのかなあとか思ったり。
隣のカフェにはさすがに台風のせいか客が少なく、落ち着いて本が読めた。とりあえず『太平洋戦争…』に目を通したが、読んでいる内に海軍の将校というのは何なんだろうという気がしてきた。陸軍が国を誤り、海軍は心ならずも戦争に巻き込まれていった、というような海軍性善説があり、私は実は海軍関係のことはあまり詳しくないので勉強しようと思って読んだのだけど、優秀という点では陸軍将校の方がよっぽど優秀なのではないかと思った。海軍というのはスマートだし技術屋で英語も喋れる人が多くかっこいい印象があるが、ものを考えているという点では内容に多少問題はあろうけれども陸軍の方によっぽどそういう人材がいたのではないかという気がする。
もし自分があの時代に生きていたら徴兵に対してどう対処したか、ということをよく考えたが、海軍の見習い士官にでもなることを目指したほうが陸軍の内務班教育でしごかれるよりはよかったんじゃないかなと思っていたけれども、なんていうか根本的に日本海軍というのは私には性質(たち)があわない感じがあるなと感じさせられた。まあ印象だけでいっていてもあんまり意味がないので、読了してからまた書こうと思うけれども。
帰りに松屋の地下で鱧皮と胡瓜の和え物、天一のてんぷらの盛り合わせを買って帰宅。今日も一日雨になりそうだ。これだけ雨が続くと、きっともう夏は戻ってこないだろうなと思う。
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