小泉首相と公明党と

Posted at 05/09/04 Trackback(1)»

午後に夕立。西日本に台風が近づいているのと、関東も大気が不安定なせいか、雷雲が発生して一時本格的なスコール状態になった。しかし天気雨のときもあり、思ったより早く上がった。

週刊文春は小泉首相が9月に予定されていたアメリカ訪問をキャンセルしたのはBSE問題で譲歩を迫られることを嫌気して避けたという観測をしている。この問題はアメリカも本気で来るだろうし突っぱねて国民の大向こうを狙うだけではすまないので、小泉人気のマイナスになると判断したというわけである。人気にプラスになるパフォーマンスはするがそうでないことは居留守を使うような姿勢だという感じで、文春の指摘するとおりだとすると小泉という人は一部で言われている「親米ポチ保守」ですらなく、完全無欠のポピュリストだということになる。

そうなると、全ての政治課題を自分を演出するための手段と割り切っているということで、ちょっと想像を絶することではあるが、脚光を浴びている自分だけを愛しそのためには全てを道具として使っているということになる。小泉首相は金正日を話の分かるやつだとブッシュに熱心に言ってブッシュを当惑させたというが、つまり自己演出の好きな金正日と彼自身が一脈通じるものを持っているということだろう。ブッシュという人はやっていることはともかく人間としては誠実でちょっと間の抜けたいいヤツという感じのところがあるし、実際イラク問題では恩に着ているのだと思う。もちろんBSE問題になると話は別だろうが。

しかしまあ、BSEに触れるのが嫌だからアメリカ訪問をキャンセルしたのだとしたら、ブッシュ大統領からのお礼の電話のついでにBSEのことを持ち出されるのが嫌だからハリケーン被害の援助を渋ったのではないかという気すらしてくる。まさかそんなことはありえないだろうけど、もうどこまで信じていいのやら見当がつかぬ。

つまりまあ、たとえ話ではなく、本質的に彼は脚本・演出・主演のスタアをやっているのである。課題がどうなるかよりも、課題をかっこよく演出し、人事を捌いて見せるのが楽しくて仕方ないのだろう。自己陶酔型のヒトラーに似ていると亀井静香は言っていたが、根本的にヒトラーのような強烈な悪意を持っているとは思いにくい。首相自身映画には相当詳しいらしいが、自分自身をおそらくは芸術家だと思っているところは似ているかもしれない。

自分を演出するというのは、現在のような大衆政治状況では、政治家には必ず求められる資質であり、またその側面が小泉首相の4年間で決定的になりつつあるような気がする。大阪人には受ける辻元清美や地方人には受ける鈴木宗男のようなローカリティでは小泉首相の持つややバタ臭い日本の大衆受けの最大公約数のようなキャラクターにはどうしてもかなわない。前任者が「冷えたピザ」だったり「干からびたチーズ」だったりするのも話が出来すぎである。

まあこうなると実際、大衆は次の総理はプリンス・安倍晋三でなければ納得しないだろう。それまでの間は小泉首相が踏ん張る気かもしれないが、BSE問題には逃げないで日本の国益を守るようがんばってもらいたいものである。

しかし。まあ。いやはや。なんとも。はてさて。どうした。永井豪。

* * *

月刊現代の小沢一郎インタビューによると、公明党が与党べったりになっているのは、新進党時代に自民党に池田大作SGI会長の証人喚問問題で散々いじめられたということがあるのだという。与党になり、自民党に選挙協力をすることでそれを封じ込めようということだろうか。しかしネットでちょっと調べてみると、野党時代の自民党で証人喚問要求の先頭に立ったのは亀井静香代議士である。有為転変というか遺恨千万というか何が何して何とやら。

このインタビューで小沢氏は本来の主張と違うことをしている公明党は結局瓦解するだろうというようなことを言っているが、それはどうかなと思う。自社さ政権が出来るときも政策の違う三つの政党が合体するわけがないといっていて結局そうはならなかったという前歴がある。小沢氏は、政党が政策を共通するものの集団だということに関して非常に楽観主義的に信じている側面があるんだなあと感じる。現実には政党というのは権力を握れれば節もへったくれもなく、選挙民もまたそれに対して異様なまでに寛容であるということがまだまだ日本の風土にはあるような気がする。

まあしかしそれが健全な姿とはとてもいえないだろう。理想を言えば、どの党の政治家も人物的には遜色のない素晴らしい人間性を備えていて、十分国際社会でも発言力を持ちうるリーダーシップの持ち主である、ということを前提とし、その上でさまざまな政策論争や実績、実行力などを競い合う、という選挙にしてもらいたいと思う。今の段階ではその全ての点に疑問符のつく政治家ばかりであり、いくら考えて投票してもどの政党も絶対へまをやりそうだと思えてしまうのでは有権者も投票権を行使することに躊躇を覚えてしまうのも致し方ないとしか思えない。

21世紀をになうにふさわしい政治家よいでよ、と思っても、一人二人ではどうにもならない。政治家集団そのものが尊敬に値する人たちになって欲しいものである。

と、とりあえずないものねだりだが、一応は理想を書いておいて、砂場で金を探すように投票対象を探るしかない。

* * *

書泉ブックストアで村崎那男『脳を超えてハラで生きる』(地湧社)を買う。腰ハラ論のアプローチとしては私より若い人の著書だがちょっと面白い論点があるような気がする。

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