ネット紀元前

昨日は思いがけない方が私の20代のころの芝居を見てくださっていたことを知り、びっくりするやら嬉しいやらでつい遅くまでそのころの仲間の近況をネットで調べたりしてしまった。

それでわかったことは、ぎりぎり90年以降くらいのことはネットで検索しても出てくるが、それ以前のことは関係者と思われる人のページや書き込みにしか出てこないということだ。私がウィンドウズ機を買いニフティでパソコン通信をはじめたのが94年。考えてみればパソ通の膨大なデータの中には結構80年代のそうした話もあったのかもしれない。しかしもうそれも雲散霧消してしまっただろう。9600bpsのダイヤルアップでネットスケープを3000円で購入し（今じゃ考えられんな）、インターネットと言うものをはじめてみたのが96年だったかな。そのころのことはだいぶ検索にも引っかかるようになっている。はじめてサイトを作ったのが99年。あれから6年経ち、現在のブログのような複雑な仕組みが誰でも簡単に使えるようになるとは、予想だにしなかった。

自分にとっては96年あたりがネット紀元元年と言う感じで、それ以前はネット紀元前である。ものぐさになって調べ物の多くの部分をネットで済ますようになると、それ以前のことはすっぽりと歴史から抜け落ちてしまう。20代のころのことが丸で別時代の事のような気がしてしまうのは、単にこちらが年を取ったということだけではなく、思考にPCがなくてはならないようになってから何か大きな物が変わってしまったということがあるのではないかという気がする。

私は文章は書きたいが長い間字を書きつづけるのが苦手と言うけしからん人間なので、ワープロ・パソコンと言うものの出現は本当にありがたかったし、以前に比べるとほんとうに全く抵抗なく文章を書くことが出来るようになっている。しかし確かにそれによって失われたものもあるなと昔のことを懐かしく思う部分と何かさびしく思う部分があるようになってきた。