技術(テク)に対する嫌悪感と不全感
Posted at 05/08/05 PermaLink» Tweet
20代のころのことを思い出す。考えて書き出してみたら、自分が書いて上演した芝居は全部で7本あった。思ったより書いている。書いたけど上演しなかった作品もいくつかあるから、拙いものだが10本程度は戯曲を書いているのだということに気がついた。
上演した芝居の内容を思い出してみると、何か主人公に欠落感があり、それにどのように向き合うかというようなことをテーマにした芝居が多い。「ここにいることができない」という強い思いをどの主人公も持っている。状況で与えられることもあるし心理状態や精神状態からそうなる場合もある。もちろんそれはそのころの自分の抱えていたテーマと言うか問題がそういうかたちで現われているのだと今にすれば思う。
結局何が欠落していたのだろう、とつらつら考えてみると、私はいつも『技術』というものが自分には欠けている、と言う思いが強かったのだなと思い当たった。自分は思考の人間だと思考は規定しているのだが、現実には思考と言うより行動の人間だ、と最近認識してきていて、その行動のための技術が伴っていないことにいつも不全感を持っていたのではないかと思い当たった。
器用な人と言うのは技術を改めて身につける気持ちがなくてもひょいひょいと体で覚えていくが、私などは意識して取り組まないと全然ダメである。いちいちそこのハードルが高いので意識が低いときはなんとなくそのままになってしまったりすることが多く、中途半端になることが多いようだ。
で、そういうときに思考のほうがその状況をさらって行って変な方向に結論付ける。そのため不全感が残り、ここにいては行けないのではないかという方向に思考が行く、ということの繰り返しだったのかなと思ったりした。
最近は年を取っていいかげんになったせいかあまり不全感のような物は意識しないが、いまだに技術的なものが苦手だと言う面が強い。技術と言う専門性に降りていくことにまだどこか違うと言う意識が残っているのだなと思う。
しかし、やはり観念論だけではつまらないと思うしそこに安住することも出来ない。書くことで書く技術が向上しているのかどうかはわからないが、ある種の堂堂巡りの中にしか新しい発見の生まれる余地はないのかなとも思ったり。まあしかしやっぱり意識するとしないとに関わらず技術(テク)というものは大事だということは間違いないな。テクに走りすぎる人を見ているとどうしても馬鹿としか思えないその思考をちょっと変えた方がいいのだろう。
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