中共政権内部の権力闘争/洗脳主義の思想
Posted at 05/07/27 PermaLink» Tweet
昨日帰郷。台風のため電車が止まるのではないかと思っていたが、私の乗ったものは何事もなく予定通りに。東京駅の日本橋口の丸善で黄文雄『中国・韓国が死んでも教えない近現代史』(徳間文庫)、深田祐介『深田祐介の憂国十番勝負』(PHP研究所)を買う。黄文雄の著作というのは独特の読みにくさがあり、内容は興味深いことも多いのだが最近なかなか最後まで読みとおせなくなってきた。これはどうだろう。うなずけるところ、疑問に思うところをよく整理しながら読んだ方がいいかもしれない。題名はちょっとカバーなしでも恥ずかしくなく読める程度にしてもらいたいとは思うが。
深田祐介の方は『VOICE』誌上の対談の連載をまとめたもの。李登輝との対談が面白いのだが、対談時点と比べると現在は許文龍の中共政権への屈服など事態の悪化が目立ち、李登輝の発言も楽観的に見えてしまうところもあるが、この巨大な政治家はまた事態を打開する新しい手を打っていくだろう。私自身は、台湾の将来を危惧する気持ちはまだ強いが、李登輝が2007年ごろに中共政権は権力闘争により分裂する可能性があると指摘しているのは興味深い。
そう言えば極東ブログで第1回世界漢語大会を開催した北京政権の思惑は、上海語や広東語を駆逐して中国を完全に北京官話に統一することにあるという指摘は興味深い。あの大げさな『文化大革命』が劉少奇らの追い落としの権力闘争に過ぎず、『批林批孔運動』(林彪と孔子を批判する)の本当の標的が周恩来だった、もっとも明哲保身に長けた周はあっという間に自己批判して失脚しなかったが、という中国の伝統から考えれば、当然これは江沢民ら上海閥に対する遠まわしの攻撃だということになろう。江と胡錦涛の暗闘は報じられている以上にすざまじいのかもしれないと思った。
自己批判で思い出したが、もう一冊帰郷途中で読んでいた田原総一朗の『日本の戦後』のなかで連赤事件を起こした赤軍派の元兵士が、京浜安保共闘の永田洋子らの自己批判→総括の路線を「完全に毛沢東主義」と呼んでいるのが印象に残った。つまり毛沢東主義というのは人を追いこんである特定の思想に同化させる、簡単に、というか普通に言えば「洗脳主義」ということか。私はどちらかというと『農村が都市を包囲する』という革命の戦術論が毛沢東主義の柱かと思っていたが、むしろそういう思想改造の方式に毛沢東主義の本質があるのだとしたら中共政権というのがいかに恐ろしいかということがよくわかるし、日本にこれだけシンパを持つことで日本の思想状況を蚕食している現状がよく把握されるように思う。
ペルーのセンデロ・ルミノソやネパールの毛沢東主義派がなぜあんなに暴力的で過激なのか今一つよくわからなかったが、そうした思想改造で毛沢東主義の兵士を育成しているならイスラム過激派の「自爆テロ養成教育」と並んで恐るべき思想であることには間違いない。しかし日本の戦前には血盟団の「一人一殺」の思想もあったし、それがある意味禅の思想につながっているという面もある。おのれをむなしくして社会に奉仕する、という思想はすばらしいが極端に走ると非常に恐ろしい。それはまた、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の世界でもある。ある意味みんなアリョーシャである。
こうした思想は激しい拒否感も呼ぶ反面、激しい共感も呼ぶものであることは間違いない。潔癖であればあるほど共感してしまうという傾向もあろう。人間の思想というものの深さと恐ろしさを感じざるを得ないが、つまりは天国と地獄は隣り合わせ、聖人と極悪人は背中あわせという面がどうしても出てきてしまうということなのだろう。
話を深田祐介に戻すと、対談相手として中村富十郎とかとの対談は面白かったが、そのほかはややステロタイプにはまりがちな傾向があるなと思った。
ほかには、先ほど書いた田原の『日本の戦後』、ヘミングウェイの『キリマンジャロの雪』を読み進めている。あくまで私の印象だが、小説というものはこういうものだよな、という感じがする。
そう言えば、『マンガ嫌韓流』の発売が昨日だったので立ち読みでもしようと思っていたら、どこにも置いていない。いろいろネットで見てみると、大手書店は内容に問題があるとして置かない方針らしい。そうなるとアマゾンかセブンアンドワイで買うしかないのか。買うほどのつもりもなく、立ち読みでぱらぱら見ればいいかというくらいなのだけど。
今日は台風一過。暑い。でも天気がよくて、やはり夏はこうでなくちゃ、と思う。
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