歴史認識の始まり/情報専門官/青山学院の謝罪
Posted at 05/07/14 PermaLink» Tweet
今日はフランス革命記念日。パリのバスチーユが民衆によって襲撃され、革命が始まった日である。1789年から今年で216年。日数というのはどんどん増える。それは大衆民主主義というものの混乱の歴史でもある。
昨日は午前中、久しぶりにお城まで歩く。お城の護国神社に参拝したら、永田鉄山の銅像の隣に戦没者の新たな顕彰碑が建っていた。日付を見ると昨年の11月。ということは、それ以来護国神社に参拝していないということか。少し反省する。靖国神社には一時毎日のように参拝していたのに、地元の護国神社に行かないというのはいかにも方手落ちだ。
参拝していたら散歩していた親子の2、3歳の男の子が何をしてるんだろうと珍しそうにのぞきに来た。神社や碑文のようなものに興味があるのだろうか。いや、神さまの前で手を合わせたり碑文を読んだりしている人が珍しかったのだろう。そう言うものがこの世にある、ということ自体、その年代の子供には新鮮なのだと思う。歴史は、それぞれの人間の上に建てられる建造物だ。記憶に残らないかもしれないが、彼の歴史認識の第一歩になったかもしれない、とひそかに思ったり。
少し大きめの(地元にしては、だが)本屋に行ってSAPIOの最新号を買う。コミック乱TWINSがなぜかなかったので向かいのセブンイレブンで購入。家からここまで往復すると小一時間かかる。
SAPIOでは「インテリジェンス・データベース」という記事をよく読んでいたのだが、今回この「坂上巌」という著者があの佐藤優氏であることが明らかにされた。鈴木宗男疑惑で執行猶予のついた外交官、『国家の罠』の著者である。身分は現在、「起訴休職外務事務官」というものらしい。今までこの記事で感じた著者像というのは凄みのある切れ者の軍事・機密情報専門家がいるものだなあという感じだったが、それが佐藤優氏だったというのはちょっと驚いた。当然だが、日本の外務省にもこういうインテリジェンスの専門家がいて、国際舞台の背景でさまざまに活躍しているのだということを知ると、少々安心するとともに、彼らの活動がきちんと外交舞台で反映されているのかといことが気になる。ほとんど某国の二重スパイとしか思えない人物もいれば、目立たないところで地道に汗をかいている人もいるのだなあと思う。
この「汗をかく」という表現も、国会議員の地道に裏工作している人を派閥のボスなどが誉めるときに使う言葉で、なんというか国民に対しては半分背信的なんじゃないかという感じの感覚があったが、国際舞台でということになるとごくろうさまです、という感じがする。そういう見えない活動があって、初めて守られているものがたくさんあるのだと思う。
青山学院高等部の入試問題の英語の長文がひめゆり学徒の生き残りを中傷したということが問題になり、青山学院が全面謝罪という事件があったが、今号の『ゴーマニズム宣言』ではそれを誹謗中傷ととること自体がほぼ言いがかりであるということを明らかにしている。英語の長文を要約して挿絵もつけて解説してあるのを読むと、非常に真摯な態度で戦争体験の語り継ぎの困難さの問題について論じている文章だということが分かる。
それを揚げ足を取って非難している勢力があるわけだが、結局はこういう勢力が自ら言論を封殺していってしまっていて、硬直した言論空間を作り出しているということを明らかにしている。これに対して青山学院が謝罪したことは、「面倒を避けて謝っておけばよい」というその場しのぎの土下座外交的な発想が学内の議論で勝利を収めたのであろうことは想像に余りある。面倒はいやだ、正論でも相手が怒ってみせるなら謝罪してしまえ、という態度は、国家次元というより民間レベルで相当根強いというか、毅然としていられないという状況になってきている。
いずれにしろ、こうした言論の歪みと言うか痙攣状態と言うか、そう言うものはいろんな場面で日本の宿痾のようなものだが、結局そう言うことを一つ一つ指摘して問題にしていくことによってしか治癒していくことはないのかもしれない。言論は価値の問題に直結するから、「理想的な言論状況」と言うものに達することは古今東西いかなる場合でもありえないことだろうが、日本的な風土のもとではまた独自の困難さがある。どうあるのが理想なのか、実際には誰にもわからないバランスの問題なのだと思うが、小林よしのりのようにこういうことを問題として取り上げ、議論して行くことの積み重ねの先にしか、バランスと言うものはありえないのだろうと思う。
まあそういうスクラップアンドビルドの世界観自体が、日本人としては避けたいものなんだよな、と言う感想も持たざるを得ないのだけど。
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