日米経済戦争/アジアの三すくみ/KANではないが
Posted at 05/07/28 PermaLink» Tweet
田原総一朗『日本の戦後』下、ヘミングウェイ『キリマンジャロの雪』、黄文雄『中国・韓国が死んでも教えない近現代史』を並行して読む。
『日本の戦後』は今日米経済摩擦のところを読んでいるが、読んでいると腹が立ってくる。中国・韓国についてはその酷さがさまざまに多くの人々に自覚されてきているが、わずか20年足らず前の時期にアメリカにこれほど酷いことをやられたということをいったいみんな覚えているだろうか、と思う。イラク戦争のアメリカの不義を攻撃するのもいいが、この経済戦争の圧伏がバブルとその崩壊、失われた十年を生んだことを考えると、日本にとってはもっと重要なことであったと思う。最近は日本もある程度は発言するようになり、狂牛病の牛の輸入についても歯止めがかかっている(と入っても牛丼が食いたいというふざけた理由で解禁を主張する○○も多いが)が、これはイラク戦争支持のおまけと、アメリカに対する交渉術が少しは向上したことによるのだろうと思う。そういう意味では高い授業料だったが全く無駄ではないのかもしれない。しかし一方的にやられた80年代後半の話に腹が立つのは仕方がない。というわけであまりそこから読み進めていない。
『キリマンジャロの雪』は読みにくいし、すごく面白いというわけでもないのだが、文章、特に小説を書くということに関しては非常に参考になる。"Big TwoHearted River"は釣りの話だが、押さえた感情表現がなるほどと思わせる。日本の最近の小説などを読んでいてもこんなもの書けないなとしか(という以前に何が面白いのかよくわからない)思えないが、こういうのはいいなと思う。小説偏重の現在の文芸事情を見ると、小説の体裁を取るということは戦略的には意味があると思うし、何かそんなふうに書ければいいなと思う。
黄文雄は線を引きながら読んでいるが、非常に面白い。「日本の(戦争に対する)過剰反省が、中国・韓国の無反省を助長する」というのは全くその通りだと思った。つまり、日本の反省というのは自己満足に過ぎず、ヘビとカエルとナメクジの三すくみでもカエルがヘビに弱いだけならともかくナメクジにもびびっているのでは他のアジア諸国などの世界戦略上も困ったものだと思われているだろう。現在のアジア情勢で最大の問題は、やはり中国の膨張主義であり軍国主義であることは間違いない。アジアで中国を牽制するにたる国は日本しかないのだし、日本が頼りにならなければアメリカに頼るしかなく、そうすればアメリカのアジアへのコミットが深いままにならざるを得ない。日本が応分の負担を果たすべき、という面から言えば、やはり中国にきちんと対峙してその膨張の歯止めをかけ、アメリカにこれ以上アジアへのコミットを強めさせない防波堤になる、そういう立場が現在の日本の世界史的な存在の意味ということになるのではないかという気がする。韓国が中華帝国主義に取り込まれがちな現在、歴史カードに過剰反応することは絶対にプラスにならない。粛々とやるべきことをやる。それだけだろう。
結構売れているちくま新書の『靖国問題』であるが、ネットで調べていたらあの例の女性戦犯法廷(朝日新聞の本田記者がNHKに政治家が圧力を書けたとかいう件で捏造まがいの記事を書いた原因になったあれである)の実質的な思想的中心という人物であるらしい。そうした反国家的な人物の書いた本がこれだけ売れるというのはどういうことかよくわからないが、船橋の図書館の保守派言論人の著作を大量廃棄して裁判で不当であると判決を受けた土橋悦子元司書が自分の著書である『縫い針だんなと待ち針おくさん』とか言う童話を35冊も船橋市に購入させ(ハリー=ポッターでさえ20数冊)、図書館関係でもたとえば西東京市芝久保図書館で一館で13冊も購入しているなど「お仲間」がいることをうかがわせるところを見ると、出版や公共図書館、公立学校といったところに多数「大人買い」をしている方々がいるのではないかなという気がした。そうやって雰囲気作りをする戦略には彼らは非常に長けているように思われる。我々もメディアリテラシーをしっかり持って、こうした人々の策謀には乗せられないようにしていかなければならないと思う。
負けない、という気持ちが多分大事なのだ。私はKANか。
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