佐原ミズさんの「私と私」を読んだ。

Posted at 18/02/07

佐原ミズさんの「私と私」を読んだ。

私と私
佐原ミズ
ノース・スターズ・ピクチャーズ
2018-01-20



もともとこの作品も作者さんも知っていたわけではないのだけど、東陽町の文教堂でコミックスを眺めていた時に表紙が気になってジャケ買いした作品。最近時々そういう昔のノリが出てきていて楽しい。カバーをつけて読んでいたから表紙は今これを書いていて書皮を外して買った時以来見たわけだけど、やはりいい。絵の魅力は大きい。

収録作品は「箱庭の虜」「ゆびきり姫」「私と私」の前後編の三つ。童話的・寓話的作品の「ゆびきり姫」は少し異色(諸星大二郎・高橋葉介の短編テイストがある)だが、「箱庭の虜」と「私と私」の2作品は何度も読んだあとで思い返すような作品だった。
この2作品、共通することは「貧困」がバックにあるということ。「ゆびきり姫」が1997年初出の作品であるのに対し、この2作品は2017年発表の作品で、やはり「貧困」が身近にあるようになってからの作品なんだなと思う。

「箱庭の虜」は自転車置き場の近くに引きこもり、女子高生が置いて言った自転車のサドルを盗む男に、いきなり女子高生が告白するという話。「私と私」は冴えない容姿(というか漫画で描かれるところのブス)でファッションオタク、絵ばかり描いている女子高生・田中美和の前にほとんどの同姓同名ながらすらっとした容姿で明るく美人な同級生・田中実和が現れるという話。ほとんどアイデア一発を膨らませてお話しに仕立て上げた感じだけど、私もそういう「降りてきた」みたいな話の作り方をよくやるので、そこはすごく刺激された。

「箱庭の虜」は突然告白した少女・杉田直の本当の思惑が読めないまま翻弄されるうち、自分の中の変化を感じて「変われるかも知れない」と思った男が、思い切って買った太陽のペンダントを送る。キスシーンが2回出てくるが、その2回の意味が全然違うところがいい。

「私と私」は、容姿に恵まれない美和が突然現れたほぼ同姓同名の快活な美人の実和に憧れるとともに嫉妬するが、偶然見かけた美和について言って生活の実態を知り愕然とするとともに帰りが遅れただけでみんなで心配してもらえる自分の境遇に初めてきづくところもいい。残酷だけど。

実和に憧れるもうひとりが隣のクラスの宮原なのだが、彼はトランスジェンダーで女装思考が強いのに、実和が好きになると言うやや複雑なセクシュアリティなのだが、今までの読んだ作品に現れた人物像の性自認は割と巷間言われているようなシンプルな造詣が多かったので、実際にはこう言う宮原みたいな人もいるだろうなあと言う気はした。トランスジェンダーでなおかつバイセクシュアルということなのだろうか。

物語の展開としては突っ込みどころがないわけではないのだけど、私はこういう作りの話は好きなんだなと思う。ネトゲ廃人とか性的少数者とかを物語の広がりを持たせるために出すことには意見はある気がするが、実際にそういう人たちがいてそういうことが起こっているということもまた事実だろうから、ありなんだろうと思う。

場合によっては安易に流れる可能性のあるこのストーリーを引き締めているのが、絵の力。特に登場人物の目の力ではないかと思う。「箱庭の虜」の「他の人じゃだめです」という時の直の目。絵の雰囲気は全体に「最終兵器彼女」の高橋しんさんのようなほんわかなのに、いきなり強い目力が現れるのがインパクトがある。「私と私」ではくるくる変わる美和の目がすごいなと思うが、目力の強さでは実和か。


 

2作品とも、ラストは救いがあるというか、まあなんというかお伽話エンドというか、貧困を描いた作品では「ギャングース」もそうだったけど、実際には無理だよなあと思いつつ最後はこういうエンドにしたいよなあ、という終わり方になっている。まあ救いがあるからこそ現実に目を向けると余計その痛々しさが際立つ、というようなものではあるのだけど、いろいろなことを考えさせられる作品だった。
面白かったです。

「ハイキュー!」が面白い。

Posted at 18/02/05

少年ジャンプ10号。「ハイキュー!」面白い。高校男子バレーボール漫画。2月2日に単行本30巻が出たばかり。「全国2位」の稲荷崎高校との対戦が続いている。


 

主人公の宮城県代表・烏野高校1年生・日向翔陽(ひなた・しょうよう)は身長164センチの小柄ながら、セッターの影山飛雄(かげやま・とびお)とのコンビで超速のタイミングの速攻を使うポイントゲッター。しかしそれ以外の技術は未熟で、サーブの時はピンチサーバーを出されることもしばしばだった。

現在の状況はそれぞれが1セットずつとった3セット目、それもデュースで27-27。(バレーは1セット25点)そしてサーブは日向なのだが、ブロックに飛んだ月島が相手のコースを操り、日向の方向にスパイクを打たせる。

もともと日向はレシーブが不得意だったが経験の積み重ねでこの試合中にレシーブの勘を掴み、かなりのアタックも挙げることができるようになったので、月島もそれを信頼して日向に取らせるようにブロックを飛んだのだった。周りは日向のナイスレシーブに感動するが、日向は思う。

「ああくそ今までだってわかってたつもりだ。けど月島本当に、ブロック上手えんだなあ」

これは感動した。自分がレシーブを取れるようになって初めて、月島のブロックがいかに相手のスパイクコースをコントロールしてるかがはっきりとわかる。上達すればするほど、他者の技のすごさがよく理解できる、というのは本当にあるよなあと思った。

そして続くラリー。バテてきた月島はワンタッチが精一杯という状況で田中(30巻の表紙)がギリギリ拾った球を影山は超美しい高めのボールでエースの東峰(あずまね)に送る。その影山の技術の確かさにむしろ戦慄する東峰だが、相手の3枚ブロックを引きつけ、ブロックが下がってきたタイミングで打った球は見事にブロックアウトになる。

盛り上がる烏野側だが、それを画面で見ていた伊達工業のメンツ(宮城県のチームで烏野と練習試合をした。鉄壁のブロックを誇る)が「打つタイミングをずらしたアタック」が成功したことに「ムカつく」と言っててこれも盛り上がる。常に上を目指して練習してきたその成果が、この最も緊迫した場面で成功したわけだから。

そしてラストシーン。サーブでポイントを獲得(ブレイク)した烏野はマッチポイントを握る。稲荷崎のキャプテン北は下級生にコート内の連中の気持ちを問い、答える。

「ここで決めたやつがヒーローや」

誰もプレッシャーどころではない、最後の一点を俺が決めてやる、としか思ってないと。かっこいい。

今回の「ハイキュー!」は最初から最後まで間然とするところなし。全部良かった。

この作品は単行本化が遅い。出たばかりの30巻は収録されているのが昨年の41号まで。それでも稲荷崎戦の第2セット途中なのだが。未収録分は連載19回分にもなる。ほぼ単行本2巻分だ。例えば「食戟のソーマ」は未収録分が5回分だからその差ははっきりとある。その分だけこの作品は単行本収録時の直しが多いということなのだろう。数巻前にはエピソードをかなり描き足していたこともあった(まさに伊達工業との練習試合のあたりだ)から、単行本の完成度にはかなりこだわりがあるのだなと思う。

2012年から連載が始まり、6年目だがまだまだ面白くなりそうだ。期待したい。

「メイのメイデン」「大蜘蛛ちゃんフラッシュバック」「終わった漫画家」3冊感想など。

Posted at 18/01/29

久しぶりに今まで買ってない作者さんのマンガを3冊買ったので感想など。
昨日神保町で買ったのがガクキレオさん原作レルシーさん作画の「メイのメイデン」1巻(スクエアエニックス)。此れは基本的にジャケ買い、というか少し中身を読んで買ったのだが、「コミックガンガンJOKER」に連載されている作品のようだ。デリヘルなのだがデリヘル嬢がデリバリーカジノのディーラーでもあり、客が勝てば客の要求をタダで聞き、嬢が勝てばお金だけもらって何もせずに帰ってくる、というシステム。しかもこれが「裏コース」があり、過激な要求と超法外な金額との取引になったりする、という設定。4話まで、計3回の「裏コース」での戦いが描けれているわけだが、当然飛び交うイカサマとそれを見抜く仕組みが色々と工夫して描かれていて、その辺りが見どころということだろうか。設定からしてエロが基本なのだけど、そういうシーンはほとんどないので、いわば見かけの装飾のようなもの、と言ってもいいかもしれない。基本的に「過激」なストーリーで読ませる作品だけど、コントラストのある作画が特徴的だと思った。2巻も読んでみたい。
今日アリオ北砂の福家書店で買った1冊目が植芝理一さん「大蜘蛛ちゃんフラッシュバック」(講談社)。これは月刊アフタヌーン連載で、「宝石の国」や「ブルーピリオド」目当てで買ったけど相変わらず興味を惹かれる作品が多いアフタヌーンで、読んでみてもいいなと思ってたのがちょうど目に入ったので買った、という感じのもの。可愛いお母さんの女子高生時代の記憶が、もう亡くなったお父さんの視点からフラッシュバックする、という設定で、まあお母さん好きな男子高校生って昔ではちょっと描けなかった作品だなと思うが、要するに今様のホームコメディという感じで、まあ、問題作、みたいなものではない。

私自身はこれに出てくる主人公・実の同級生女子・一一(にのまえ・はじめ)が割と好みなのだが、お母さんにドキドキしてしまう実にはあんまり目に入ってこない、という感じがその理由はともかく少年漫画のラブコメの王道っぽくていい。
2冊目が福間しげゆきさん「終わった漫画家」1巻(講談社)。これは週刊ヤングマガジンに連載されてる作品。10年前に少年誌で小ヒットを飛ばし、今でも貯金一定残っていて知名度もなくはないが現在は地味な月刊誌で編集者主導の連載一本、という作家が結婚願望から「アシスタント」を募集したらやってきたのは同じように結婚願望のあるA子とガチの漫画家志望ながらストーリーは作れても絵が描けない高校生のB子、という話で、福間さんの作品らしくいつでも登場人物が色々と考えていることが思いとして吹き出しの中に書かれていてそのウザさを含めて面白い。まあ色々とリアルなんだけど、モーニングの連載で読んでいた「僕の小規模な生活」ではマンガ家本人のウザさと妻の可愛さの取り合わせという新ジャンルを切り開いた感があったが、この作品もそれぞれの個性が可笑しくていいなと思う。

どれもあんまり今までの自分のセレクトには入ってこないような作品なのだけど、多分それぞれに今という時代を反映した作品のように思えて、面白かったのだろうな、と思う。

宝石の国とかブルーピリオドとか

Posted at 18/01/26

うまくは言えないがちょっとじっくり物事に取り組めないものが自分の中にあり、ものを書くのもなかなか大変なのだが、とりあえずマンガは読んでいるので、その現状報告のようなものを少し。

月曜日22日にジャンプを買ったが、22日の東京地方の大雪の影響で(こちら長野県諏訪ではいつもより少ないくらいしか降らなかった)23日以降書店にマンガが届かず、木曜日25日にまとめてどっと届いたので、昨日マンガをかなりたくさん買った。

25日に買ったのはDモーニング(これは電子書籍だが)、ヤングジャンプ、月刊チャンピオンRED、月刊ビッグガンガン、月刊アフタヌーン、雑誌は合計5冊。厚い本が多くかなり重かった。

単行本では「GIANT KILLING」46巻、「へうげもの」最終25巻。ジャイキリは主に日本代表の試合前の清水戦で、なんか壮行試合みたいな雰囲気だった。「へうげもの」は最終巻。最後の最後に家康と対決するという演出はいい。そして、切腹後の「本当に織部は死んだのか?」をめぐる謎めぐりで最後は沖縄まで行ってしまうのもおかしい。そしてラストの蚊遣りは虚実ない交ぜというか全部壮大なギャグだったんじゃないかと思わせるところがおかしかった。

月刊アフタヌーン、「宝石の国」先生の宝石たちへの事情説明。愛の履歴みたいな感じ。「ブルーピリオド」相変わらずすごいな。この2作品が載ってるなら連載誌を買う価値がある。「大上さん、だだ漏れです。」面白くなってきた。

ビッグガンガン、表紙および巻頭カラーが「薬屋のひとりごと」。この作品はいつも楽しみ。「ハイスコアガール」連載でしか読んでないけど、クライマックス近しの印象。「シオリ・エクスペリエンス」クライマックスに巻中カラーを持ってきた。最近この演出をよく見るようになってきたけど、いいなこれ。「ユーベルブラット」は休載。

チャンピオンRED、「絢爛たるグランドセーヌ」さくらの成長。早く単行本で通して読みたい。

ヤングジャンプ、「キングダム」。思わぬ展開。次週以降に期待。信も将として覚醒するか。「ドロ刑」。これも早く単行本でまとめて読みたいな。

今日買った週刊漫画Times。「神様のバレー」面白いな。「なみだ坂診療所」。師長の小野寺が鈴香を訪ねてきて、かつての同僚、加藤について尋ねる。生と死と病院内の人間関係。20年目にして。うーん。来週を待て、だ。

とりあえず今日は文章のみで。

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