「マンガワンを潰すこと」がゴールではない/作家は作品で評価すべき/イラン・イスラム体制とソ連やナチスとの共通点と相違点/イスラエルの斬首作戦の凄まじさ/「前科者」の「排除」と「社会復帰」

Posted at 26/03/04

3月4日(水)曇り

昨日は午前中に松本に整体に出かける。余裕を持って出かけたはずなのだが結局結構時間が押してしまったのだけど、高速を降りて下道に入ってからはゆっくり走ることができたし、ショートカットの道がしばらく工事で通れなかったのが通れるようになっていたので、ほぼ時間通りに着くことができた。腕は相変わらず痛く、操法を受けている間もじっとしていられなくて何度も姿勢を変えていたのだが、対応としては「減食」ということを言われて、これはそうかもと思った。しばらく少なめに食べて体調を見ようと思う。

というわけで昼食に追加で買うことはやめて家にあるものだけを食べることにし、実家に直帰した。いつもはお昼を過ぎるのだが昨日は昼前に着くことができて、ゆっくり昼食を食べることができた。言われて気がついてみると、手持ち無沙汰になるとすぐ菓子類に手を伸ばしていたことがはっきりわかり、食事の量を減らすだけではなくて間食を断つ必要があるなと思うなどした。昨日は雨が降っていたので午後も特にいろいろやらず、早めに準備して出かけた。

今朝は5時前に起きた。やはり腕が痛くて起きるというパターンは続いているが、それなりにはちゃんと深く眠れたと思う。何度も寝床の中で体勢を変えていたので布団も毛布もベッドからずり落ちてしまっていたが。起きて少しネットを見て出かけ、セブンまで車で走ってサンデーを買い、職場に出て忘れ物を取って帰ってきた。

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https://jp.reuters.com/world/us/LTL4HUGAIJIEJPXIYFFC3FCNYA-2026-03-03/

イランとイスラエル・アメリカ、それに周辺諸国とのミサイルやドローンの応酬を中心とした戦闘が続いているが、最高指導者のハメネイ師を殺害されたイランは次の最高指導者の選出まで、ペゼシュキアン大統領らによる暫定指導者評議会が国政を領導しているようなのだが、その一員を出す専門家会議が聖地コムで行われていたのをイスラエルが空爆し、破壊されたようで、ネットの情報によるとここにはイスラム法学者88人が集まっていたといい、これは最高指導者選出を妨害しようということでもあるだろうが、イスラム共和国体制を支える法学者たちを一網打尽にしたという意味もあるのではないかとは思う。この情報収集能力やきっちり敵を倒していく様はゲーム実況を見ているようにさえ感じるが、ナチスの戦犯を地球の果てまで追いかけて裁判にかけた執念と同質のものが今回にも見られるなと思った。

これを見ているとユダヤ教のイスラエルとイスラム教シーア派のある種の宗教戦争でもあるなとは思うが、宗教がバックボーンにある国家体制という点でこの二国はある意味にているわけで、だからこそ相手の弱点がわかるということもあるのだろうとは思う。

イランの体制については今まであまりちゃんと調べたり考えたりしたことがなかったのだが、ここ数日のイラン中枢部へのアメリカやイスラエルの攻撃を見て、彼らの考えていることはわかりやすいというか、教科書通りに上から順番に潰して行っているのだなと思う。イランが核兵器を持っていたらこんなことはできなかったわけで、体制維持のためにはやはり核所有が必要だという認識はより強まるだろうなとは思う。

イランの最高権力者は「最高指導者」であり、これになれるのは「イスラム法学者」に限られていて、大統領以下の政府はその指導に従うという形になっているから、これはつまりは中国共産党が中国政府を指導する、というプロレタリア独裁体制というか「党が国家を指導する」社会主義体制を雛形とした体制といっていいのではないかという気がしてきている。「イスラム法学者集団」が「国家の前衛たる共産党」にあたるわけだが、共産党の理論ほどは明確ではないけれども、この仕組みが「イスラム共和国体制=ヴェラーヤテ・ファギーフ」ということなのだろうと思う。ソ連や中国は党の指導者(主席・総書記)が国家の指導者(国家主席)を兼任することが多いが、最高指導者は大統領にはならない。というかむしろハメネイがホメイニ体制下で大統領を務めていたように、イスラム法学者にとっては最高指導者への道でもあるのかもしれない。

ただ、大統領は外交官の接受や、派遣する大公使の信任状への署名、条約の締結、勲章の授与など国家元首としての機能も持っているので、完全に格下ということでもない。またハメネイ師は外国の指導者と会見することは少なかったようで、安倍元首相との会見が今でもよく引っ張り出されてきているから、最高指導者はむしろ奥の院というか、日本史上で言えば「上皇=院=治天の君」のような存在だと考えても良いのかもしれない。

で、こういう政府の体制とその内閣、国会、軍との関係などについて調べようと思ったが日本語の資料が少なく英語のものまで渉猟している時間がないので、国軍と大統領がどういう関係にあるのかがはっきりしなかったが、国軍の最高司令官は最高指導者ということになっているようだ。しかしイラン国軍は基本的に帝政時代の軍を引き継いだもので、軍の編成などはパーレビ朝時代に導入された英米的な組織になっているのだという。そういうこともあり、イスラム法学者からは不信の目で見られることもあって、国軍とは別に「革命防衛隊」が組織され、そちらは本来国軍を牽制する目的だったわけだが、むしろこちらの方が突出して他国への工作を行ったり、軍産複合体として強大な権力や莫大な利権を持つようになり、最高指導者の子飼いの勢力みたいになっているらしく、この辺も院に仕える北面武士の軍事力が朝廷の動員できる軍事力を上回る、みたいな雰囲気もあるなと思った。

この辺を考えると、ソ連共産党の場合は新たに共産党独自の軍を作るのではなく、帝政時代以来の国軍に「政治局員」を派遣して政治的指導を行うという形で軍を統制していたわけで、その辺は長征を行った紅軍だけでなく軍閥の軍を吸収して行って人民解放軍を組織した中国共産党などとも違い、むしろドイツ国軍とは別に「SA=突撃隊」「SS=親衛隊」を組織したナチス政権的な軍の編成だったと考えて良いのかなと思った。ドイツは近代民主主義国家だったから政府は乗っ取ることができたが軍は乗っ取れなかったのだろうとか。

いずれにしてもハメネイ師をはじめトップに空爆を行って斬首作戦を遂行していくイスラエルとアメリカの情報力は半端なものではないということがよくわかるし、イラン側も指導者の会合は地下壕でやるとかイントラネットのオンラインでやるとか工夫すればいいのに多くの人が集まって一網打尽にされるということを繰り返しているのは何かそれがイスラム法で定められているのかもしれないからなんとも言えないけれども、ある種の組織としての硬直性があるのは確かだなとは思った。

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マンガワン関連でいくつか。マンガワンに関してはだんだん雰囲気が人民裁判か文化大革命みたいになってきて、あちこちでベテランとか巨匠と言われるような人たちが吊し上げにあったり赤い三角帽子を被せられて背中に「走資派」と張り紙されてる雰囲気になっている。そういう行動を取っている人たちは特に女性に多く、女性が性被害や性加害に神経を尖らせるのはもちろんわからなくはないが、暴走し始めるとどこまで転がっていくかわからないところがあり、まさに草津町長を虚偽の性被害で告発した下町議を応援したりオープンレターで将来を嘱望された日本史学者をキャンセルしたりした時の暗い情熱がより大規模に爆発している感じがある。

今回の状況を見ていて思ったのは、日本のマンガ界は相当な部分が女性に支えられているということ。古くはうる星やつらの高橋留美子さんから、近年では鬼滅の刃の吾峠呼世晴さん、そのほか少年マンガの世界でもいちいち上げていくのが恥ずかしくなるくらいの数の人たちが書いているわけである。その中には当然ながらフェミニズム的な意識の高い人たちもいて、そういう人たちが主導する形でマンガワンをボイコットする動きが起こり、今度はマンガワンに残る人たちに対して攻撃を加えるとか、明後日の方向の破壊活動が行われているのは、一度冷静になった方がいいと思う。

https://amzn.to/4b4vI91

マンガ「重版出来!」(これも女性作家で小学館の作品だ)でも描かれていたが、一度立ち上がった雑誌が潰れるということは、雑誌関係者だけでなくそこで描いていたマンガ家やその家族はもちろん、そのアシスタントや多くの読者たちにも非常に大きな影響が出ることなのである。マンガワンは小学館の主力のマンガアプリの一つだから、破壊活動を扇動する人たちの今の目標は「マンガワンを潰す」ということが目標になっているように見えるが、それで大きな犠牲を強いられる人たちのことを考えているとは思えない。もちろんそんなことを考慮に入れていたら破壊活動などできないが。

BL作家たちが男性向けエロ漫画の描写について表現規制を言い始めたときに過激な描写の多いBLマンガを批判する人たちに対してBLは愛があるからうんたらとか言い始めたように、かなり一方的な論理で自分の趣味を擁護し他者の趣味を批判する人が多い傾向もあるのだが、表現規制反対に動く政治家の人たちもBL作家たちの表現規制主張に対して強くそれを批判しなかったりしたのは、逆に言えばマンガ界においてそれなりの勢力が彼女らにあるということはあるのだろうと思う。その辺りのことも今回の動きで再度確認した感じがある。

マンガワンは独自のコンテンツもあるが、小学館の他の作品をそこで閲覧したり購入したりする窓口にもなっているわけで、今回作品を引き上げた作家たちの多くは独自コンテンツの作者ではなく販売窓口としてのマンガワンに作品を提供していた人たちなのである。独自コンテンツとして作品を発表している人たちの中にもそれに引きずられたということもあるのだろう、更新停止などの措置を要求している例も多いようで、編集部の方もそうした要望は基本的には受け入れているようである。まあ、あれだけ失態が明らかになったら止めるのも難しいということもあるだろうとは思うが。

マンガワンがブランドとして生まれ変わるということ自体はしてもいいとは思うが、一度完全に更地にしてしまえみたいなことを言う人が出てくるのは容易に予想できるが、現実の出版業というものはゲームのリセットマラソンとは違って一度パーにしてしまえば本当に多くのものが失われるのである。初期に作品を引き上げた人たちはおそらくそこまで考えてなかったのではないかと思うのだが、「角を矯めて牛を殺す」という故事に近いことが現在行われようとしているように見えて、憂慮に耐えない。私自身としては、これからどうにかしていかなければならないところはあるだろうが、「とりあえず潰す」という方向性には強く反対したいと思う。

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二つ目は犯罪を犯して法の裁きを受け、社会に復帰しようとしている人たち、いわゆる「前科者の社会復帰」の面。「常人仮面」の方は明らかにプロセスに相当な問題があったようなので、批判は免れないと思うのだが、これに関連して明らかになったマツキタツヤ氏のケースに関しては、かなり慎重にことを運んでいるということもあり、これは受け入れるべきケースではないかということ。

https://manga-one.com/manga/27160/chapter/300175

悪いことはしない方がいいのは当たり前だが、人間だから道を踏み外してしまう人は必ずいる。これは現代のような資本主義的競争社会だからというだけでなく、封建的な固定された社会でもそうだった。そういう人たちを社会から排除して仕舞えば、彼らは闇の世界にしか行くところがなくなる。それが闇の世界を活性化させ、一般社会を脅かすことになるわけで、彼らもできる限り我々の世界に引き留めなくてはいけないのだと思う。いろいろな困難はあるけれども、思考停止せずに社会復帰の道を考えるのは必要なことだろう。

ただ、もちろんこの社会、ある場所から排除しなければいけないということはあり、それは小児性加害の前科のある人を小学校教諭など現実に子供に接する仕事に就かせないということなどは必要だろうと思う。また、この社会に激烈な損害を加えるような行為をした人に司法プロセスを経て死刑や無期懲役の刑罰が下ることも現実にはそうした執行の一つだろうと思う。法を犯した外国人を国外追放し、再入国を拒否するということなども同じことである。社会やその構成員はそうした人たちから守られなければならないからである。

その線をどう引くかは法治国家である以上ある程度のルールは必要なのだが、今回の事例などを見ていると個別の事情がありすぎるわけで、現在のところ結局は司法判断を基準にするしかないというところはあり、それに対しての不満はおそらく常にあると思う。ただ、人民裁判でこうした人たちを排除する、つまり感情によって人を罰するというのは近代的な法治国家においてはやってはいけないことだと考えるべきだと思う。ちゃんとした法的プロセスを踏まない私的制裁は民主主義の根幹である正当な手続きプロセスから外れるからである。というか、そうした定められたプロセス自体が権力の恣意や民衆の感情の暴走を抑止するためのものであるわけだが。

マツキさんの「星霜の心理士」に関しては、書いているように私は公開されているすべての範囲を昨日課金して読んだのだが、大変いいと思っている。作家は作品で評価されるべきだと思うというのは大前提としてある。

https://app.manga-one.com/webview/v3/web_pages?id=3993

マツキさんがこの性加害事件に関連してカウンセリングを受け、それに感銘を受けて小説を書き、それが今回原作者として起用されたことにつながっている、ということを批判している人もいる。そこは私は違うと思っていて、私はこれは罪を悔いてキリスト教に改宗した人が神の恩寵を語るようになる、というのと同じことだと私は捉えている。そうであるならそれを止めることは誰にもできないしペテロもパウロもアウグスティヌスも否定することになる。

そのカウンセリング体験が彼にとって今書いたような意味での精神的に本当に深い経験だったのか、ネタにすぎないのかは他者からは判断できないが、作品を全部読んだ限りでは前者であるように私は思っている。先に書いたように私としては作品で作家を評価したいと思っているから、この評価されるべき作品は、中断されずに最後まで続いてほしいと思っている。

「マンガワン」で「アクタージュ」原作者のマツキタツヤ氏が「星霜の心理士」の連載をしていたことなど/イランの反撃と湾岸諸国のダメージ/「属国」のイメージ

Posted at 26/03/03

3月3日(火)雨

今日は上巳の節句、つまりひな祭り。当地は雨だが、雪の地方も多いようだ。三月三日に雪というと、これは旧暦の話なのだが、桜田門外ノ変である。新暦だと3月24日なので、この日に東京で雪というのはかなり珍しいだろう。この時期は17世紀にヨーロッパに危機をもたらした小氷期の終わり頃らしいので今よりは寒冷だったのだろうけど、2・26事件と並んで「雪の東京の変事」として記憶に残っているわけである。

今朝も腕が痛くて目が覚めたのだが、それだけでなく二階で寝ていたから雨音がかなり大きかったというのもある。腕の痛みを抑えるには入浴とか脚湯、肘湯などとにかく温めるとマシにはなるのだが、寝る前に一度風呂に入っているので夜中に目が覚めた時には肘湯を試してみた。あまり変わらない気もしたが、もう一度寝床に入ってみたらなんとか眠ることはできたので効果はなくはなかったなとは思う。今日は整体に行くので少しマシになればいいのだがとは思う。

昨日は日曜にやったこと、月末の締めなど午前中はいろいろ仕事をして、銀行に書類を出しに行ったりもしたのだが、少し買い物もして帰ってきて昼食を取り、部屋の片付けをしたりした後、3時ごろから竹藪の刈り取りをした。先週の木曜にある程度やってから三日空けての作業になったが、先日切った竹がもうかなり乾燥していて、扱いやすくなっていたので自然の力というのはすごいなと思ったり。昨日は市の防災無線で林野火災のついての注意、つまり野焼きをするなという放送があったなと思ったのだが、大体そういう日の翌日には雨が降る、というパターンになっていて、今日はかなり降ったからまたこの注意も解除されるのだろうなと思う。

夕方車で出かけて岡谷に本を見に行ったりしていたが、結局何も買わず、夕食を少しだけ買って帰ってきた。

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https://natalie.mu/comic/news/662328

昨日は「マンガワン」に関して新しい事実が出てきた。少年ジャンプで原作者として「アクタージュ」を連載し、性加害関係の罪で起訴され執行猶予判決を受けていたマツキタツヤ氏がペンネームを変えてマンガワンで原作者として「星霜の心理士」という作品を連載していた、ということである。「常人仮面」に関連してマツキ氏の例はネットでもよく取り上げられていたし、私は「アクタージュ」は全巻持っていていまだに単行本に収録されなかった連載時のジャンプもまだ持っているので、このことには正直驚いた。

https://manga-one.com/manga/27160/chapter/300175

「アクタージュ」は少し変わっているけれども類稀な表現力を持つ女優志望の少女を主人公にした作品で、特に主人公の「夜凪景」の造形が作画の宇佐崎しろさんの絵も含めてとても良かった。この作品とコラボした女優のオーディションなども行われようとしていて、まさにこれからというときにマツキ氏が逮捕され、それらは全ておじゃんになり、宇佐崎さんはデビュー作が絶版という巻き込み事故にあったわけだが、宇佐崎さんは早々にこうした措置は当然だと態度表明したこともあり、迅速に収拾したように記憶している。宇佐崎さんは現在ジャンプ本誌で「魔男のイチ」をヒットさせていて、彼女自身の頑張りだけでなくジャンプ編集部もできる限りのフォローを責任を持ってやっていたのだろうというのは感じられる。

https://www.shonenjump.com/j/rensai/act-age.html

「マンガワン」が実はマツキ氏を起用していたという告知は最初は私自身もかなり混乱したが、執行猶予が終わり、松木氏がネットで小説を書いているのを読んで編集部から声をかけて、作画者の人にもそうした事実を伝えた上で原作として連載に至った、という経緯が書かれていて、どう評価すべきか迷ったのでとりあえず読んでみようと思い、「星霜の心理士」をマンガワンアプリで課金して読んでみた。

ツイッターで多くの人が表明しているように、この作品はとても良い。基本は異世界ファンタジーなのだが、何らかのきっかけでこのファンタジー世界に転生してしまった人々が何人か出てきて、その一人が臨床心理士として「勇者」や「魔法使い」、また「賢者」や「戦士」太刀のカウンセリングを行うことでその心理的な桎梏を乗り越えられるようにしていくという話で、しっかりとした取材に基づいてキャラの造形もよくできているし、そうした事情を承知の上で原作に感動して作画を引き受けたという作画もかなり気合が入っていて、単行本告知でも編集者の並々ならぬ熱意が感じられ、既刊2巻だが1巻はすでに重版がかかっているというヒット作になっているようだった。

いろいろな経緯を考えてみるとこの復帰には正当性があると思ったので、私は全話読んだだけでなく単行本も2冊ともAmazonでポチったが、現在更新停止の措置が取られていて、これは「常人仮面」作者の件とともに「第三者委員会」の判断を仰ぐという形になっているらしい。小学館はこの過程に正当性がありきちんと手続きをしていると強調しているように読めたので、それならば更新停止することもないとは思ったが、どうやら週刊文春がこれをスクープとして取り上げるという情報があったところから、このタイミングでの情報公開になったのだという。

犯罪歴などはもちろん重大な個人情報だから原作者・作画者双方の同意を取った上でこの事実を公表したとのことだが、当然ながら松木氏の作品のファンである私ですら動揺したわけで、「ネット上の怒れる人たち」は一気に沸騰したわけである。

「怒れる人たち」とはまた別に、様々な意見を表明する人がいて、なるほどそういうこともあるよなとは思ったのだけど、私自身としては良いと思った作品は読みたいので、とりあえず読めるようにはした。「常人仮面」の作者についてと対応がかなり違うのは、お互いに連絡がなかったのかなという気はするけど、前科があっても表現の自由や経済活動の自由は日本国憲法で保障された基本的人権であり、そう簡単に否定されるべきものではないから、まずはこれからの議論は見守っていきたいとは思うが、まあ落ち着かないところがある人は多いだろう。

臨床心理士を題材に取り上げたのはマツキ氏自身が事件後にこれに関連してカウンセリングを受けているということがあるようなのだけど、それだけに真摯な内容のように私は読んでいて感じるので、そう簡単には行かないかもしれないが、この作品が社会に受け入れられると良いなとは思っている。ただ、自分の中に動揺が完全になくなったわけでもないので、やはりこの時代に臨床心理士というものは必要なんだろうなと思う。

https://www.shogakukan.co.jp/news/477332

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それにしても、忙しいからあまりちゃんと深く考えられていない出来事がいくつも起こり、ふっと我に帰ると何というか現実感がないというか、いろいろとんでもないことが起こってるのではないかという気がするようなことがここ数日起こっている。

最大のものはアメリカとイスラエルによるイラン攻撃でハメネイ師やアフマディネジャド元大統領が殺害されるなどの大きな事件だが、イランも革命防衛隊を中心に反撃に出ていて、イスラエルやアメリカ基地だけでなく湾岸諸国では防空網の隙間を縫ってイランのミサイルが着弾していて、大きな被害が出たり、また革命防衛隊はホルムズ海峡の封鎖を宣言していて、一気に世界が緊張と動揺に包まれていく感じになっていた。

記事をいろいろ読んでいると、特に最近はリッチな富裕層向けのリゾート地として地域イメージの転換を図っていたドバイなどの湾岸の諸国家、外交の仲介役として存在感を示していたカタールなどが一気に「危険地帯」になったために、オイルマネーからの脱却を図っていた湾岸諸国にとっては大きなダメージだという指摘があり、これはなるほどと思った。

イスラエルはイランを弱体化させることが目的だと言われているけれども、湾岸諸国にとってみれば弱体化した不安定なイランがすぐそこにあるというのは彼らの利益にも反するわけで、今後どのような外交が行われていくのか、イランの政体がどうなっていくのかについては予断を許さないものがあるなと思う。

ただ、このあたりの地域についてはこちらの知識も不足しているのでいろいろ論じるには不十分な感じがあり、観察記録としてとりあえず書いておきたい。

https://note.com/mogura2001/n/n975a5b867bdd

もう一つなるほどと思ったのは、「日本はアメリカの属国」というナラティブについてである。属国というのはこの場合は軍事的に従属する立場にある国、防衛してもらう国というニュアンスであるが、当然ながら安倍元首相がハメネイ師と会見しているように、アメリカとは別の意図を持って動く国であるわけだが、この言葉を使う人たちは基本的に東アジア的な朝貢国のイメージをこの言葉にこめている、という指摘である。つまり殊更に屈辱的であるということを強調したいわけで、右翼であれば対米独立、自主防衛を唱える根本になるし、左翼であればアメリカと切って中国との関係を重視しろという主張になるわけである。後者の方はどうも中国の従属国になれというニュアンスも感じることが多く、どうかとは思うのだが。

現実のところ西側諸国はアメリカの防衛力にかなり頼っているところがあり、そういう意味で完全な独立国といえないというプーチンの主張はある程度当たってはいる。ただ、それもかなり一方的なところのある見方ではある。

ただ、これからアメリカによる力による秩序が構築されていくとしたら、この辺の論理もどのように変化していくのか、まだわからないところもあるなあとは思っている。

「ふつうの軽音部」100話:「鷹見項希・ライジング」と「歌詞を書かない引き算の美」/トランプが作ろうとしている「アメリカ主導の力による国際秩序」/「マンガワン」問題:編集者、キャンセル、下請けとしての漫画家

Posted at 26/03/02

3月2日(月)晴れ

昨日はだいぶ暖かかった感じだが、今朝は晴れているので少し冷え込んでいて、最低気温は0.2度。昨日は朝からずっと行事の用意をしていて、お昼からやり、午後早くに終わったのだが、そのあとは疲れが出てしまって、というかいろいろやる気にならずに概ねだらだらしていた。それでも夕方に少し出かけてコロッケを買ってきて、ご飯を炊いて油揚げの味噌汁を作り、鰯の丸干しを焼いてお昼の残りと共に夕食。少し酒を飲んだり。今日の昼間では献立に困らない、というかそう言えば間違えて卵を買いすぎているのだが、あれはどうやって食べるか。茹で卵にして保存するてもあるかと思ったり。

昨日はそういうわけであまり文章を書いたりはしていないのだが、いろいろな面で世界は激動していて、自分が何を柱に何をどう考えるべきなのか、いろいろ整理しないといけないところも出てきた感じがある。今日は昨日の今日ではない、という感じになってきた。

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https://shonenjumpplus.com/episode/17107094914615393643

それでもまず「ふつうの軽音部」100話の感想。サブタイトルが「照準を定める」になっていて、しかもラストページに示されるというパターン。100話の柱はレイハとまわり、ワンワンと行成の圧倒的なライブなのだが、これをみていて動かされた人たちと、ただ盛り上がっている人たちがはっきりと分かれているのが面白い。

動かされた人の第一はまず幸山厘で、田口が言った「暴れるベース」をまわりが演奏しているのを前話では「ボーカルを邪魔している」と否定的にみていたのが、今回はボーカルのレイハがさらにまわりを上回るパフォーマンスを見せつけて、何か思うことがあったように思われる。二人目は意外なことに2年生の部長の数志で、「こいつらが来年同じ大会に出るとしたら勝てる気がしない」と思っている。ということは逆に言えば、この演奏を見るまでは勝てると思っていたということなのだろう。「大会」というのが今後クローズアップされてくる予感があるわけである。

3人目は鳩野自身で、「レイハはバンドマンというよりシンガーだ」という自分の言葉に刺激を受けたらしいレイハがバンドマンとしても圧倒的な力を持っているのだというのをまざまざと見せつけられ、「憧れの対象のたまき」や「倒したいライバルである鷹見」をはるかに超えた圧倒的な格上存在だと見せつけられたわけである。しかしそれに対し、「格が違う、それでも・・・!!」と負けたくない気持ちが握りしめたこぶしに現れている。

4人目は鷹見で、中学生の頃に憧れた「ワンワン」が今目の前で演奏して圧倒的であるだけでなく、ライブパフォーマンスとしても「即席バンド」の彼らが自分たち「プロトコル」よりはるかに上を行くライブをしていることに「悔しいなあ・・・」と思う。

そこで思うのは、自分は高校で音楽をやめるから兄貴のような一生音楽を続ける人には敵わないが、同じ「高校の軽音部」という土俵でなら、「絶対に負けたくない 引退までにこいつらを超えるライブをやってみせる」と思うわけである。

ここでこのマンガの一つのベースラインというか前提が示されたように思うのだが、バンドやミュージシャンというのは当然ながら演奏だけでなく、どういう曲を作り出すかというところに大きな評価がかかってくるわけで、鷹見の兄の竜希はバンバン作曲もして、オリジナルを演奏していたわけである。そんな兄に自分は敵わないが、「高校の軽音部として演奏し、そのライブパフォーマンスでは」誰にも負けない、という目標ができた、ということだなと思ったのだった。

つまり、このマンガの一つの大きな特徴は、「邦ロックの魅力」を読者に伝えることにあるわけで、そういう意味でずっと「ありもの」の楽曲が使われてきたわけだけど、他のバンドマンガでは普通はオリジナル演奏に移っていくけれども、この漫画ではおそらくは最後まで、展開によって変わることはないとは言えないが、ありものの邦ロックの演奏シーンがメインで、そのライブパフォーマンスの質を競う、という作品になるのだろうと思われたわけである。

鷹見はどちらかというとハスに構えた、というか自分の弱さで大好きな尊敬する兄を傷つけたことから自分にも周囲にもハスに構えたところを持ち、それゆえに女子との交際も適当にしてしまうところがあるわけなのだが、音楽に対しては真摯なところがあって、そこは鳩野も評価しているのだけど、基本的に負けず嫌いで自分は適当に流していた文化祭で、鳩野たちの演奏に衝撃を受けてハロウィンライブでは全力で演奏し、鳩野たちが実力の違いを見せつけたわけだが、「谷九で一番」という評価で参加した合同ライブではアクシデントはありながらもそれなりのパフォーマンスを見せていたが、レイハたちに負けた、と感じて悔しい思いになり、「絶対にこいつらを超える」と「照準を定めた」わけである。

鷹見は自分は父との約束で高校で音楽をやめるつもりなのだが、遠野や水尾からは「あれだけの才能が」とか「一生音楽をやる人間だと思う」と思われていて、彩目も「お前はどこにいくつもりなんや」と尋ねていたりして、周りからは音楽を続けることを期待されているわけである。だから、鷹見がこういう目標を持ったということはその先につながる可能性が出てきた、というふうに読者の方には感じられるわけで、その辺りも面白い。

鷹見が最後のコマで「はとっち お前はどうする?」と尋ねているのは、鳩野もまたそう思っているだろうという同志的な表現と感じられるわけで、この辺りから関係性に変化が生じる可能性もあるわけで、この先の展開も非常に面白い、というか桃がまわりに「外でやらないか」と誘われたことも含めると、はーとぶれいくの活動自体もまた幅が広がっていくことが考えられるわけで、今後の様々な展開が考えられることを考えるとコメント欄でいろいろな指摘がなされているように、まさに「ふつうの軽音部 第二部」の開幕なのかもしれないと思う。

そして鷹見の自覚が「俺は谷九高校の 軽音部員だから」というのが割と面白い、というか意外性があって良くて、遠野などは「こんなゆるいところにいるべきではない」と思っていたり、水尾も「みんな適当にやってるみたいだから」と思っていたり、鳩野自身も大道さんやるりちゃん、ヨンスや野呂など話せる相手もだいぶ増えてはきたものの、基本的には陰キャのおたくというノリはそう変わってはいなくて、「谷九軽音部として」などという意識はない。それが部長の数志が提案したパート練習を平気でサボるような鷹見がそういう意識を持ち出しているということが面白い。

彼はもともと文化祭ライブの時も鶴先輩にあった時に「次の部長は鶴さんか亀谷兄妹かな」と考えるくらいには軽音部の体制を意識していたのだが、それはどちらかというとその中でうまくやる、という意識なんだろうという感じだった。しかしそれがやはり鳩野に「兄と似ている」というところを感じたところから始まり、鳩野たちに勝負を仕掛け、ハロウィンライブでの鳩野と吹奏楽部顧問・指川とのツインボーカルに「無弦の境地発動してるやん」と大受けして「俺やっぱ この軽音部好きやわ」となってきていて、レイハのトゲトゲピーナッツへのdisに怒ったり自分だけ帰ろうとしているのを「最後まで聞いてけや」と呼び止めたりもしているのだが、やはり「鳩野と競い合うこと」が彼のこの軽音部でのメインなんだなとは思う。

逆に言えば「彼の軽音部への思い」というのはかなりの部分が「鳩野への思い」でもあるわけで、そこのところが読者にとっても鷹見に好感を持つところなのだが、鳩野自身は一貫して「敵」と思っているところも相当味わい深いわけである。

そういう意味では、今回の100話は「ヒロアカ」風に言えば、「鷹見項希:ライジング」の始まりでもあるなと思ったわけである。

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「ふつうの軽音部」では歌詞と展開、あるいは場面がシンクロしているのが一つの面白さなのだが、これは最初に鳩野が歌う「Everything is my guitar」から始まって、この作品の大きな魅力になっている。最初期は特に聞くものの記憶に訴えかけてその歌詞がその聞いている人の過去を明らかにしていくという作用が起こっているのだけど、最近は少し変化が起こってきた。

その変化が一番はっきりと現れたのが8巻75話で、ジャンプ+に掲載されたときには恍惚とした表情の鶴がベースを引く背後に「Because I love you」という「誘惑」の歌詞が書かれていたのが、単行本に収録されたときにはその文字が消えていたことである。つまり単行本ではその前のコマの「Kissから始まる夜は熱く」の次に続く「Because I love you」という歌詞がこのコマの背景にあることはこの曲を知っている、あるいは聴きながら読んでいる読者にしかわからないようにしたわけである。

これはこの改変が行われたときはちょっと残念に思ったのだけど、最近はそれが徹底してきていて、例えば100話でも17-18ページの見開き(完全見開きは4巻37話148-9ページの「はーとぶれいく」が初めてライブを披露した文化祭の場面以来とのこと)の背景に、

「必ず道の先にあるから諦めないと決めたよ 最後の夢を叶える日まで」

という歌詞があるわけだが、何も書かれていない。はーとぶれいくのライブだと97話5ページ目の、鳩野が恋していることに気づいて動揺した厘が「だからはとちゃんは唯一無二の神なんだね」と日野英志の漫画のような顔で信仰に立ち戻る場面の裏に「狂ってる狂ってる狂ってる(この世界で)」という歌詞がくることは感想欄でも話題になっていた。

このやり方には賛否はあるとは思うが、表現すべき絵のコマに重なる歌詞を描いてしまうことにある種の重複性があるわけで、それを省くのが「引き算の美」であると言えなくはないので、まあそういう方向で行ってるのだろうなと思うわけである。マンガの絵は書き込めば書き込むほどよい、という美意識もある一方で省略できるところは巧みに省略するというのもセンスが現れる魅力の一つなので、その辺も楽しみたいと思ったのだった。

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0100N0R00C26A3000000/

世界に衝撃を与えたニュースといえば、もちろんアメリカ軍とイスラエル軍がイランを攻撃し、ピンポイントで最高指導者のハメネイ師の殺害に成功したことだろう。これはベネズエラのマドゥロ大統領の確保に続く米軍や諜報機関の大金星であることには違いないが、こういうやり方に関して批判があるのも当然なわけである。

https://x.com/SeanKy_/status/2027984562475995145

ただ問題は単純ではなくて、上のツイートが指摘されている通り、

1) トップ1人やれば動揺する独裁国家である
2) 作戦成功には内通者が必要で、つまり国民の支持が薄い
3) 作戦実施側・巻き添えの両面で死者が少ない
4) 全面戦争に比べればコストも低い
5) 非難しようと思った時には終わっている
6) 悪の枢軸サイドだけピンポイントで叩いている

ということで、アメリカの国際法違反を非難することはもちろんできるのだけど、独裁に苦しむその国民からとれば「トランプよくやってくれた!」という人たちも多い、というところにそう簡単にはいかない問題があるわけである。これはイランでもそうだしベネズエラもそうだったし、直接手を出したわけではないけどシリアでもそうだった。もちろんイスラエルに肩入れしすぎだとかロシアに気を使いすぎだとか様々な問題はあるにしても、全体として必ずしも不評ではない、むしろ好評ですらある、という感じになっているから、「国際法秩序」を重視するアメリカ以外の西側諸国も一様に歯切れの悪い状態になっているわけである。

現行の国際法秩序は国家主権を重視するから、その面から言えば国際法秩序が独裁体制を守っている面もあるわけである。だから近年は「人権に関わる問題に関しては国家主権より優先する」という方向での修正が事実上行われつつあったわけだが、それが認められてもかなりまだるっこしい。

そこに通信技術面でも事実上世界をほぼ支配しているアメリカに完全に実利と自己都合優先のトリックスターであるトランプが大統領として現れたことで「国際秩序」についての概念が大混乱しているというのが実態なのだろうと思う。つまり、今までは「アメリカも他の国々と対等である」というフィクションを用いることで維持されていた国際秩序が、「そのフィクションこそがアメリカ国民を苦しめている」と考えるトランプが大統領になったことで、「力による秩序」に再構築されつつあるわけである。

これは現実問題として、帝国主義の再来ではない。帝国主義国は数カ国あり、出入りもあった。冷戦後のアメリカ一極構造ともまた違う。当時は中国もロシアもアメリカにそれなりに協調的だった。アメリカは今ウクライナでロシアとディールを行なっていて、中東ではイスラエルの一極構造を推進し、東アジアでは台湾有事をめぐって中国と緊張関係にあるという三つの大きな対立を抱えている。中南米やグリーンランドに対しての「西半球支配」というモンロー主義的な枠には収まらない部分が、ハートランドと極東にはあるわけである。

トランプにゼレンスキー支援の意図があるにしろないにしろロシアや中国との関わりが深いイランの混乱はウクライナにとってメリットであるに違いなく、また日本もその辺は恩恵があるだろうと思う。もちろんアメリカ軍の展開が東アジアに薄くなる可能性はあるから日本も防衛力を強化しなければならないのだが。

中東でもウクライナでもトルコが割とキーマンになっていて、トルコははっきりとイスラエルを非難しているし、湾岸諸国にはミサイルを打ち込んだイランもトルコには何もしていない。エルドアンは洞ヶ峠というか、状況を冷静に見て自分にとってより有利な状況になるように振る舞っているのだろうと思う。トルコは強大な陸軍国でもあるしシリア難民を多く受け入れてもいたから、大義の点でもポイントが高い。

「アメリカ主導の力による秩序」というものがトランプの任期中に完成するのか、この辺りが次の国際情勢のポイントになっていくと思うが、イスラエルのネタニヤフ独裁もそろそろ終わりにすべきだとは思うが、いずれにしても指導者個人のキャラクターがかなり色濃く国際政治情勢に現れているのは、危ういと言えば危ういし安倍さんを失った日本がとりあえず高市さんでなんとか凌いでいるのは次世代の指導者育成の猶予期間という意味もあるけれども間に合ってよかったなとは思っている。

***

マンガワン問題について思ったことを3点ほど。

一つは、担当編集者や当時の編集長に、なぜ逮捕され罰金刑が確定した彼を原作として起用したのか、そしてなぜそれを作画担当者に知らせなかったのかについて、証言してもらいたいなと思う。もちろんその説明が支持はされないのは明らかだけど、編集者なりの理屈や原作者に対する思い入れ、作品に対する情熱があったのではないかという気がするということ。でないとこんなバカなことはやらなかったのではないかと思うのだが、ある意味「編集バカ」ではあるが、言い訳はちゃんと聞いておいたほうがいい気はしたということである。

私自身が最も問題を感じるところは、彼の犯行が伏せられたまま連載が中断されたので読者に事情が分からなかったこと、また新たに原作をするときに犯行を明らかにした上でなら許容するという被害者の申し出(この辺ははっきりとは確認はできていないのだが)に反して伏せたままになっていたこと、原作とタッグを組む作画担当の人に全くその事実が知らされていなかったことの3点だ。

もちろん被害者は気の毒だが、正当に法的にも社会的にも罰を受けた犯罪履歴のある人が、表現の自由や経済活動の自由を全くパージされてしまうことがよいことだとはもちろん人権という観点からも思えないし、そうなるとそういう人は闇の世界しか生きられる場所がなくなり、社会全体としても不利益になると考えられるわけである。

だからこれは主に編集側に問題がある。もちろん、伏せたまま原作活動を再開したということにおいて原作者本人にもかなり大きな非はあるわけだが、編集者の関わり方がより影響を拡大させているように思う。

https://x.com/sayaka16281/status/2028106147945930933

「マンガワンのあれは自分がそうなんで、あれなんですが何か言わねばって無理に発言しなくていいと思いますよ…大丈夫ですよ」

もう一つは、キャンセル活動の広がりである。この事件を受けて多くのマンガ家、特に女性を中心に嫌悪や非難を表明する人が相次ぎ、マンガワンから作品を引き上げるという行為も多く見られた。

それをどう評価するかは別の問題だが、作家が自分の許容できないことが行われた場所で自分の作品が公開されていることを許容できないと感じてそう行動することは正当なことではあると思う。

しかし全てのマンガ家、あるいは表現に関わる人がそれについてコメントを発表しなければならない、というわけではない。まだ明らかになっていないところは多いし、コメントするにしても慎重に判断してからにしたいという人は多いだろう。一方で、普段からマンガというものを快く思っていない人たちにとってはまさに攻撃のチャンスであり、「批判しない人はおぞましい行為に加担したのと同じこと」のような短絡的な論理でキャンセル活動に及んでいる人が見られるのは残念なことである。

これは数年前にアカデミアで起こった「オープンレター」騒動と基本的に同じであって、鍵垢で行われた特定のツイートを「女性差別である」と一方的に断定し、「この非難に同調しない人は女性差別に加担したのと同じこと」、と主張して多くの人に署名させるということが起こったのは記憶に新しい。その後こうした行為に対する批判も徐々に出てきたが、この煽りを受けた人は今でも多いわけである。

個人的な経験から言えば、大学の寮に住んでいたときに過激派の活動家の人が個別訪問してきて熱心に活動に参加するように勧誘してきて、私はそのときは政府のやり方に批判を持っていたこともあり、ずいぶん強く活動に参加するように言われ、「活動に参加しないのは政府に賛成するのと同じこと」と言われたが、このときは最後まで「私は批判は持っているが活動には参加しない」と突っぱねた。しかしその後もかなりモヤモヤしたものが残った。

今考えてみると、つまりはそれが「活動家」のやり方なわけである。あることに批判は持っていても必ずしも批判活動に参加しない人は多いしそれが健全なのだが、そこに良心的弱みを感じてしまう人も中にはいる。今回のこともそうであって、加害者はひどいしマンガワンのやり方に問題があると感じてはいても非難声明までは出したくない、という人はいて当然なのであるが、「やはり態度表明をしたほうが道徳的に正しいのだろうか」という逡巡を感じてしまう人も多いとは思う。そこをついてくるから彼らのやり方は卑劣なのであって、自分が本当にこうすべきだと思ったことを貫けばよいことなのである。

https://x.com/ShinHori1/status/2027870679954297352

ただ、一方では構造的な問題もあるわけである。マンガ家というのは現代においては自分でKindle本を販売したりもできるようになっているから昔とは状況は違う面はあるが、基本的には雑誌に掲載され、あるいは出版社のやっているサイトやアプリに登録されることで売り上げが格段に伸びたり原稿料などの保証が得られることは確かなのである。

そういう意味で言えば、漫画家は出版社の下請けのようなものである。上のツイートも言いたいことはわかるのだが、「出版社を変える」というのは並大抵のことではない。諸星大二郎さんらのように昔は一つの作品を掲載媒体を変えながら連載を続けるという猛者もいたけれども、現代の作家たちにそれを要求するのは酷だろう。トヨタの下請けがトヨタが不祥事を起こしたからといって明日からホンダの下請けになるということはできないのと同じである。

売れっ子の作家というのはその媒体でずっと連載を続けているわけだから、その会社やその編集部との関係も深くなるし、その関係自体が彼の存在を支えている面も大きい。一般の著者がこの本は講談社から出すがこの本は岩波から出す、というのとは違うわけである。日本のマンガには「連載」という大きなキーワードがある。

小学館にはいくつかの漫画アプリがあり、少年サンデー系のサンデーうぇぶりやビッグコミック系のビッコミというサイトもあり、マンガワンというアプリは、他の社のアプリでもそうだが、独自の連載もあるけれども他の小学館の作品が読めるアプリでもあるわけである。だから、今回マンガワンから作品を引き上げた人の多くは、サンデーうぇぶり他のアプリや他の雑誌で作品を公開する場が確保されている人が多いというのが実態なのだと思う。もちろんそうでない人もいるけれども。

逆に言えばそれだからこそ抗議の意思として使いやすいということもある。それによって自分の生命線を全て断つわけではないからである。しかし事情を知らない人には、小学館という本体と縁を切らないことを中途半端だと感じられてしまうことも已むを得ないとは思う。

実際のところ、マンガにおいては集英社・講談社・小学館という三社の寡占状態はかなり事実として大きい。他の社に移ることは不可能ではないし実際にやっている人もいるが、うまくいかないことも多い。少し前にもマガジンの人気不良漫画の作者がジャンプに移ったが、割と早い時期に打ち切りになってしまった。編集部には編集部のスタイルがあり、マンガ家の側にもその水に合うか合わないかというのはかなり大きな問題なのである。

会社としても人気作家を手放したくないから出版社の作家取り込みもかなり強く、小学館でしか書いたことのないベテラン作家なども大勢いるわけである。

外部の弁護士や活動家など内部事情を知らない人は平気でそういうことを言うけれども、内部にいれば経済的なことを考えてもそう簡単にそう言う判断はできないのは当然のことなのだと思う。今回は逆にすぐに作品を引き上げた人たちが多く出たために逆に立場の弱い人たちのプレッシャーになったことは残念なことだったと思う。

小学館はいつまで経っても会社の経営がマンガで支えられていることを受け入れられてない感じがして、漫画家に対する対応に大きな問題がある事件がいくつも起こってしまっている。同族経営の経営陣から一度入れ替えたほうがいい感じはするが、なかなかこれも簡単には解決しない問題ではあるわけである。逆に言えば、アプリや雑誌ごとに分社化することで風通しをよくするという手段も考えられなくはないが、株式も公開していない会社が自らそう言うことをやるのは考えにくいとは思う。

「ふつうの軽音部」第100話:最強のライバル/イラン攻撃とハメネイ師の現在/「常人仮面」原作者の件

Posted at 26/03/01

3月1日(日)晴れ

今日は地元の行事があるので朝から準備をしている。とは言え小さな集まりなので家の中でやっているわけだが、いろいろと片付けることも多くて仕事はそれなりに多い。

こうやって書いていてもあれをやろうこれをやろうと思い出して書くのを中断する。掃除機をかけていたのでMacBookAirの電源を抜いていたのだが、書いている途中で電池が切れて画面がブラックアウトしたり。ファンヒーターが突然消えたのでフィルターを掃除してスイッチを入れたら電源が入らず、理由がわからなかったので慌てて別のファンヒーターを用意して灯油を入れたら盛大にこぼしてしまい、拭き掃除をしたり。そちらも電源が入らないのでおかしいなと思ったら延長コードのコンセントが少し抜けていた。差し直したらついたのでなあんだということだが、いろいろもたもたしている。

***

https://shonenjumpplus.com/episode/17107094914615393643

「ふつうの軽音部」第100話。記念すべき100話は最強のライバルの登場。強いライバルがドン!と現れてくるところはやはりジャンプマンガだなと思う。レイハたちが演奏するのはMy FIRST STORYの「REVIVER」なのだが、この曲は知らなかったけどレイハが歌うのは女性ボーカルかあ、と思って聞いていたら調べてみたら男性ボーカルで、しかも森進一・森昌子の息子だとのこと。レイハが桁違いのボーカルというのはなるほどこういう曲を歌いこなすということなのかと思ったり。

主人公・鳩野ちひろの成長イベントというのはさまざまあるのだが、「憧れ」のたまき先輩、「敵」の鷹見に続いて、「格が違う」レイハのライブに触れて、鳩野だけでなく鷹見が高揚しているのもいいし、ベースのまわりがレイハより前に出ようとして頭を押さえつけられたり首に手を回されたりしてガンガンにぶっ飛ばす高揚感はすごい、という感じである。

簡単にいうと高校の部活動のスケール感をはるかに超えたスケールの大きさ、という感じだろうか。しかしプロではない。鷹見は高校でバンドをやめようと思っているが「同じ部活動なら負けない」と闘志を燃やすのだが、さて鳩野の決意は、というところでエンド、だったが、「格が違う、それでも・・・・!!」の次のセリフは来週のお楽しみ、ということになった。

じっくり噛み締めて感想を書きたいが時間がない。

***

イスラエルとアメリカがイランを攻撃し、トランプ大統領はハメネイ師を殺害したとSNSに投稿したのだという。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000488455.html

https://x.com/WhiteHouse/status/2027863139136479347

6時のNHKニュースではイラン側は否定しているということだが、現状どうなっているのだろうか。というか本当にハメネイ師が死んでいるとしたらイラン側の混乱は必至なので、どうなるか。この空爆が斬首作戦だとは思っていなかったので少し驚いたが、狙いはそうだったのかと改めて思った。

反政府側も先頃の弾圧で相当な死傷者を出しているわけで、革命防衛隊そのものはまだ健在だろうし、誰が政権の中心になるのかわからないが、そう簡単に戦争は終わらないのではないかという気はする。

***

https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015062591000

「常人仮面」作者の件、NHKでは児童ポルノ禁止法により罰金刑の略式命令、というのを繰り返しているのでどちらかと言えば児童買春なのでは?と思ったのだが、結果は児ポ法違反が刑罰の対象になったということなのだろうか。名目の問題と言えばそれまでだが、印象としては児ポ法違反の方がマンガ界に与えるダメージが大きくなる感じがあり、あまり良くないなとは思うがそれが事実なら仕方がない。

こちらもいろいろバタバタと動いているので、また自分に時間がある時にもう少し考えたいと思う。


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